2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2023.2.21令和4年度成果発表会令和4年3月福島県沖を震源とする地震における被害能からみた住家被害の時系列推移出典:福島県, データ作成:N2EM, グラフ作成:防災科研破線は被害報の更新タイミングを示しています。災害時にはさまざまな組織が同時並行で異なる活動をするため、それぞれの組織が集めた情報は散逸した状態となることが多く、その災害における状況認識の統一を実現することが難しくなる。本来は様々な組織が持っている情報を共有することで、状況認識を統一し、効果的な災害対応を実現することが理想的である。しかし、災害対応においては迅速な対応が求められるため、状況認識の統一によって全体の状況がわかるまで対応しないということはあり得ず、ただ闇雲に対応することも望ましくない。そこでできるだけ早く被害状況を定量的に把握し、効果的な災害対応へとつなげていく仕組みが必要である。右図は令和4年3月に発生した福島県沖を震源する地震について、福島県の被害報に基づいて住家被害報告の時間的推移を示したものである。右図の住家被害の時間的推移をみると、右肩上がりに住家被害の数が増えていく自治体もあれば、一定期間、住家被害の数が増えていくがその後横ばい状態となる自治体もある。このように、被害報からこの地震における被害がどのように把握されていったのかを伺うことができる。自治体から報告される被害の情報を積み重ねていくと、その自治体における被害の規模感やその把握状況を推測することが可能である。今後は住家被害だけでなく、避難者数やインフラ被害の様々な情報を時系列的な視点も踏まえて分析することにより、その災害における被害の特徴をより把握しやすくするとともに、災害対応における効果的な意思決定や対応に資する情報提供のあり方を考えていきたい。■災害対応では被害の全容把握を迅速に行う必要がある■住家被害の全容把握の動向は市町村によって異なる■被害状況の時系列推移から災害対応の動向を把握する被害報からみる住家被害把握の時間的推移防災情報研究部門佐野浩彬
元のページ ../index.html#186