令和4年度成果発表会
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↑観測データのノイズ強度↑周辺の地震情報←メカニズム解情報↑ノイズ強度の時間変化2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2023.2.21令和4年度成果発表会F-netのwebから公開している情報の例F-netの観測データから推定される地震のメカニズム解カタログも、webで公開しています。このカタログには、地震の震源の位置や規模(マグニチュード)に加えて、逆断層や横ずれ断層といった断層運動に関する情報も含まれています。2022年11月現在で約42,000の地震が含まれ、重要なデータセットです。2021年からは、各地震のメカニズム解だけでなく、周辺で発生した地震に関する情報も追加し、過去の地震と比較できるようにしました。観測データの品質情報メカニズム解カタログ防災科研では、日本の陸域と海域に配置された2,000以上の観測点による陸海統合地震津波火山観測網(MOWLAS:モウラス)を整備・運用するとともに、得られた観測データを用いて、様々な研究開発を行っています。また、観測データや研究成果の一部はwebから公開し、広く活用されています。MOWLASを構成する7つの観測網の1つであるF-netは、広帯域地震計と呼ばれる地震計が稼働する約70の観測点から構成されます。広帯域地震計は、地震によるはやい(周期の短い)揺れから非常にゆっくりとした(周期の長い)揺れまで幅広い周期の地震動を記録できます。得られた観測データは、地震が発生する際の断層破壊の様子の推定や地球の内部構造に関する研究等に用いられます。他のMOWLASの観測網と同様に、F-netの観測データ(地震動データ)はwebから公開しています。また、近年では、データの品質情報も公開し始めました。例えば、観測データのノイズ強度はデータを利用する上で重要ですが、地震計の設置環境等に依存し観測点ごとに異なります。この情報の公開により、ユーザーがデータを使用する際のデータ選択等が容易になります。防災科研F-netでは、観測データそのものの公開に加えて、品質等のデータを利用する上で有効な付加情報も合わせて公開しています。これらの情報は、ユーザーの利便性向上につながりデータの価値を高めるものと言えます。また、各地震のメカニズム解情報を周辺の過去の地震のものと比較できるようにすることで、その地震がこれまでのものと似ているのか異なるのか等の検討を容易に行えるようになり、その後の研究のきっかけになることも期待できます。今後も観測網の整備・運用を実施する上で、観測網そのものの機能向上をはかることに加えて、データの利用者に有用な情報の創出や効果的な提供の在り方等についても、検討していきます。地震津波火山ネットワークセンター木村武志■F-netでは地震動のデータや地震のメカニズム解を公開■地震動データに加えて、データ品質情報も公開■各地震の周辺で発生した過去の地震のメカニズム解を確認可能広帯域地震観測網F-netの情報発信

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