■一緒に学び、学び合う、「先生徒」型の共同学習■「わくわく」する学びが、地域の防災力を高める■模型を使って、川のしくみを「なるほど」と学ぶ2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2023.2.21令和4年度成果発表会模型を使って、川のしくみを学ぶ様子ある地域やその地域での防災について、住民の皆さんと一緒に学び、学び合う、共同地域学習に取り組んでいます。地域のことに詳しい住民の皆さんと防災に詳しい皆さん(防災士の皆さんや防災の研究者)が集まって、そこに集う誰もが先生であり生徒となって(岡田(2008) の言う「先生徒」の関係)、一緒に学んだり、お互いに学び合うという活動です。今年度は、川のしくみについて一緒に学びを深めました。地域の自然環境、つまり、川や雨や大地のしくみを正しく理解することなしに、地域の防災について正しく議論し、対策することはできないからです。何もない大地に自然に川ができて、それがどんどんと変化してゆくしくみ(河川地形学)を、模型(河川地形実験装置)を使って、目で見て、手で触れて、経験的に学びました。長さ約2 m、幅約1 m の実験台の上に砂を敷きつめて上流から水を流すと、流れる水のはたらきによって地形が自然に変化してゆきます。このような模型をあちらこちらと持参して、訪問先の皆さんと一緒に学びを深めました。新潟県長岡市の千手地区の地域行事や高等専門学校の授業の中で、住民の皆さんや学生の皆さんと一緒に、模型実験による共同学習「川離れ」(例えば、中村(2018))という社会学的現象があります。これは、地域の住民や社会と川という自然環境との間の物理的・心理的な距離の拡大をさす現象です。この住民と川との間の距離を短くすることが、私たちが取り組んでいる共同地域学習の目的のひとつであり、やがてそれが、地域の防災力を高めることにつながります。に取り組みました。また、茨城県つくばみらい市の小学校の秋祭り(文化祭のような学校行事)でも、多数の児童の皆さんと一緒に共同学習に取り組みました。共同学習の参加者から、川のしくみをよく理解できた、近所の川についてもよく観察してみたい、といった声をいただきました。他方、この共同学習を通じて、私たち研究者の側も、住民にとって川とはどういう存在なのか、子供たちの目には川はどう映っているのか、そういうことを知ることができ、多くの学びを得ました。水・土砂防災研究部門上米良秀行住民の皆さんと一緒に学び、学び合う
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