■上総-下総堆積盆の地質層序区分■上総-下総堆積盆の堆積環境と分布域の変遷■首都圏の地震防災対策の基礎資料2019.○○.○○○○○○○○○○○○○上部堆積盆の堆積環境・房総半島北西部から神奈川県、東京都、埼玉県に広く分布。・下位の中部の地層を削り込む。・堆積の中心は、東京湾東岸(姉崎付近)・九十九里海岸~九十九里沖への分布は不明。中部堆積盆の堆積環境・房総半島から埼玉県南部に分布(三浦半島、多摩丘陵等には分布せず)。・下部の反射面はオンラップし、上部の反射面はトランケーションを呈す。・堆積の中心は、房総半島中部(市原市牛久付近)・九十九里沖への分布は不明。下部堆積盆の堆積環境・いわゆる黒滝不整合から北の房総半島と三浦半島を除く南関東地域に分布。・九十九里沖では三浦層群にオンラップ、房総半島東京湾では整合的。・堆積の中心は、九十九里沖。・九十九里沖の基盤の上昇により東半分の地域の反射面が反転して西に傾斜。:地層確認Bor:地層確認Bor:地層未確認Bor黒滝不整合2023.2.21令和4年度成果発表会図-1上総-下総堆積盆の地質層序と下部・中部・上部堆積盆の堆積環境上総-下総堆積盆は、房総半島中央部で実施した反射法地震探査の反射断面と地表地質、ボーリング調査結果等との対比により下部、中部、上部の三つに区分されることが分かってきました。区分の境界は、黄和田層上面と笠森層下面になります。下部堆積盆の堆積環境は、九十九里沖で下位の三浦層群が形成する海底斜面にオンラップして堆積し、房総半島から東京湾にかけて三浦層群に整合的に堆積しています。中部堆積盆のうち大田代層と梅ヶ瀬層、国本層下部は、海底扇状地堆積物で下部堆積盆の地層にオンラップして堆積し、西には連続しません。国本層上部と柿ノ木台層、長南層は、大陸棚や海浜の堆積物で上部堆積盆(笠森層)に部分不整合で覆われます。上部堆積盆は、部分不整合により海水が引いた後、再び海進した浅海や汽水域に広く堆積した地層です。堆積盆の東側(九十九里沖)と西側(東京湾の西域)では基盤が継続して上昇し、特に東側の上昇(2000m以上)により地層の堆積域が狭まるとともに、地層が反転し西に傾斜するようになります。また、各堆積盆の中心位置(最も地層が厚い)は西に移動(九十九里沖→房総半島中央→東京湾東岸)しています。堆積域について、下部堆積盆は、黒滝不整合の北側の房総半島~東京湾西域に分布し、三浦半島には分布していません。房総半島中央部で確立した上総-下総堆積盆の地質層序は、東京湾の反射法探査結果を経由して南関東に追跡が可能となってきました。今後、東京都や神奈川県等に成果を追跡するとともに、近年ボーリング調査結果の再検討により、沖積層に覆われる地域でも火山灰層序の再検討が行われていることから、併せて、南関東地域の堆積環境の変遷を解明していきたい。また、上総-下総堆積盆の解明は、首都圏の地震防災対策の基礎資料として防災基礎力の向上に役立てていきたい。中部堆積盆は、房総半島北西部や板橋区と江戸川区のボーリング調査で確認されていますが、東京湾西域や三浦半島、多摩丘陵・多摩川下流には分布しません。上部堆積盆は、房総半島北西部~南関東全域の広い地域で確認されています。上総-下総堆積盆の変遷は、三浦層群の海底斜面に西から供給された下部堆積盆の堆積物がオンラップしながら長い時間をかけ堆積し、その狭まった堆積域を急激に中部堆積盆の堆積物が埋め立て、不整合の後、浅瀬に上部堆積盆の堆積物が堆積したと考えられます。その間も堆積盆の東側、西側の基盤は上昇を続け、今の上総-下総堆積盆が形成されました。上総-下総堆積盆の地質=反射法地震探査結果から=所属名:マルチハザードリスク評価研究部門氏名:浅尾一已
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