2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2023.2.21令和4年度成果発表会本研究開発のフレームワーク中小企業の災害レジリエンス向上において、災害によって制約されるヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源のうち、特にカネ(つまり、ファイナンス)に関する戦略の底上げが必要不可欠です。また、リスク・ファイナンスに代表される災害リスク保険に関しては、特に中小企業に対する普及が遅れており、リスクに対する不理解および保険料の高さが主な要因として指摘されています。そこで本研究では、ファイナンスによる中小企業の災害レジリエンス向上に向けて、「事業中断リスク」を定量化・可視化する、中小企業向けのWeb簡便評価ツール(プロトタイプ版)の開発を行っています。このツールによって、中小企業のリスク認知が高まり、対抗戦略が見出せると同時に、当該戦略を後押しし、保険料低減につながるようなファイナンスの検討に役立つ社会的期待の発見に向けた現場との双方向対話の誘発が期待されます。企業が事業継続戦略を導入した場合の効果を定量評価できる方法を構築し、上記ツールへの機能付加を行うことで、Web上での戦略効果の簡便評価をめざします。具体的には、企業間互助戦略「お互い様BC連携」を対象にした効果検証を試みます。さらに、リスク軽減効果の可視化に向けて、事業中断損失額の理論保険料換算による評価方法の構築を行います。本研究は、はじめに、J-SHISからのハザード情報、東日本大震災等の過去の被害実績データ等をもとに、地震による事業中断リスクを推計できる関数を構築し、個社ごとに事業中断損失額およびリスクカーブを導出する手法を構築します。次に、この機能を実装するWeb基盤ツールのプロトタイプ版を開発し、現場での活用を通じて、事業中断リスクに効果的に応えるファイナンスの検討に役立つ社会的期待の発見を試みます。当該ツールは、リスクを金額ベースで表現することで中小企業のリスク認知を高めるとともに、リスク簡便評価ツールとしてWeb上に公開することによって保険料の高さのボトルネックとなるリスク評価のコスト低減に資するものと考えます。また、社会的期待は、地域・官民連携型保険といった、保険料低減につながる新たなファイナンスの仕組みの検討とファイナンス対応の促進に寄与できるものと考えます。災害過程研究部門千葉洋平中小企業向け「Web簡便評価ツール」の開発■現場との双方向対話を誘発する防災科学技術基盤■ファイナンスの検討に役立つ社会的期待の発見■事業継続戦略立案に向けた経営者支援
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