■登山者動態リアルタイム把握実験■噴火時対応タイムラインの作成■火山防災協議会を対象とした防災訓練2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2023.2.21令和4年度成果発表会オンラインミーティングツールを活用した防災訓練の様子(2022年那須岳)2020年に栃木県那須岳で、2022年には長野県と岐阜県の県境にある御嶽山で登山者の動態把握と取得される情報を防災関係機関とリアルタイムで共有する実証実験を実施した(※リアルタイム情報共有実験については防災情報研究部門との連携)。2020年の那須岳では、実験で取得した登山者データを主に事前防災にどう活かすかを考え、平時において訓練シナリオに盛り込むことや避難計画等の策定にあたり参考にしてもらうなど、自治体や防災関係機関に提案してきた。また、ハザードマップと重ねることで登山者の被害推定も行った。2022年の御嶽山では、地元自治体(長野県木曽町)が実施した登山者参加型避難訓練と連携することで、登山者の避難行動モニタリングを試みた。また、取得した登山者データをリアルタイムでWeb地図上に可視化し、得られた情報を防災関係機関と共有する実験を行い、これら実験を通して火山防災上の課題について考察を行った。我々の取組の最終的な目標は、地方自治体を含む防災関係機関の方々が防災力を向上させ、結果として災害発生時の被害を少しでも減らすことである。そのためには、訓練などの取組を現場の方々が主体的かつ継続的に繰り返すことが重要である。我々はそれらを促すためにマニュアルを作成するなど標準化に努め、より多くの機関と連携して火山防災に取り組む。火山災害は低頻度であるため、ほとんどの防災関係機関にとって災害対応の経験はない。この課題を解決するため、噴火発生時に「誰が」「いつ」「何を」するかを時系列に整理した「噴火時対応タイムライン」を作成し、機関間の連携を明確にした。得られた登山者データをバックデータとし、作成した噴火時対応タイムラインの実効性検証も目的の一つとして、那須岳火山防災協議会と連携して、噴火を想定した防災訓練を実施した。また、2020年の御嶽山における取組のように、他部門(他分野)と連携し分野横断型の研究として取り組むことで、災害を自然現象としてだけではなく社会現象としても捉え、より火山災害に対する社会のレジリエンス向上に資する情報プロダクツの開発・提供を目指す。火山防災研究部門宮城洋介地方自治体と取り組む火山防災
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