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研究開発課題「災害に強い社会システムに関する実証的研究」及び「リアルタイム地震情報の伝達・利用に関する研究」に係る事前評価結果について

平成12年11月28日

1.はじめに

防災科学技術研究所は、平成9年8月7日に内閣総理大臣が決定した「国の研究開発全般に共通する評価の実施方法のあり方についての大綱的指針」に基づき、 同年12月17日に「防災科学技術研究所における研究開発等実施要領」を策定し、それに沿って爾後の研究開発課題等の評価を行うこととしている。
本要領においては、新たに重点的資金により実施すべき研究開発課題を選定する場合には、原則として外部の専門家等による事前評価をあらかじめ実施することとしている。
平成13年度概算要求を行うにあたっては、特別研究3課題を新規に要求しているところであるが、事前評価を受けていない特別研究2課題を今回新たに対象とすることとした。

2.対象課題の概要

評価対象である特別研究「災害に強い社会システムに関する実証的研究」は、より体系的で定量的な防災の政策や対策のための選択肢や判断材料の提供を可能とする災害危機管理システムのモデル開発し、災害に強い社会システムの実現に貢献することを、目的とするものである。
また、「リアルタイム地震情報の伝達・利用に関する研究」は、全国規模の高感度・広帯域地震観測データを地震災害軽減に多角的に応用して、防災関連行政機 関、民間企業、一般住民等の防災対策に実効的かつ有効な形で組み入れ可能なリアルタイム地震情報の創成・流通を行うシステムの開発、整備を目的としてい る。
本研究課題の計画年度は平成13年度~平成17年度の5ヶ年を予定している。

3.評価の目的

  • 研究開発の方向性・目的・目標等の決定及び着手すべき課題の決定
  • 研究開発計画・研究開発手法の妥当性
  • 研究資金・人材等の研究開発資源の配分の決定
  • 期待される成果・波及効果の予測の判断に資する。

4.評価方法

研究開発課題外部評価委員会を設置・開催し、研究責任者から新規研究開発課題の計画等の説明を受け、質疑応答・論議を踏まえたのち委員長は全体をとりまとめ、報告書を所長に提出する。

5.評価結果

事前評価報告書
研究課題名:災害に強い社会システムに関する実証的研究
評価委員会委員長名:虫明 功臣  作成年月日:平成12年11月20日

評価の視点 評 価 結 果
[研究目的と目標]
問題意識の明確さ
研究目標の妥当性
研究課題の独創性
災害(ここでは台風/豪雨災害)は、自然現象を原因とする社会現象であることから、自然科学と人文・社会科学とが連携・融合して、防災・減災に対する構造 物的対策と非構造物的対策の両者を社会システムのなかで評価し、災害に強い社会へ向けて新たな提言をするという問題意識は、極めて適切であるとともに、チャレンジングである。
[社会的背景]
必要性及び緊急性
国の研究計画との関連
独法人が実施する意義
構造物的対策が進むなかで、高齢化、土地利用の高度化、自己責任の重視などの社会の変化に対応し、さらに想定外の外力に対して災害に強い社会システムを構 築するためには、こうした総合的な調査研究が必須である。防災科学技術研究所は特定の防災行政の現場を持っていないことが、総合的/客観的な研究の実施に適しているといえる。
[研究構成と内容]
サブテーマ設定の妥当性
アプローチの妥当性
研究ポテンシャル
社会システムを国・県レベルと地域社会・住民レベルの2つに分けてサブ・テーマを設定しているのは適切である。しかし、人文社会科学系の招聘研究者が特定 されていない現段階では、研究内容と方法論に具体性を欠く面が見受けられる。研究発足に際して、それらをまず明確にする必要がある。
[研究計画と予算]
年次計画の妥当性
資金規模の妥当性
研究計画は概ね妥当と考えられるが、招聘研究者と協議の上、さらに具体的な年次計画を立てる必要がある。研究の広がりと外部からの研究者の招聘や協力を考慮すると、予算規模が必ずしも充分でないのではないかと考えられる。
[研究実施体制]
実施体制の妥当性
防災科学技術研究所は、これまでの台風/豪雨災害について調査研究の蓄積があり、理工学的な面でのポテンシャルは高い。
本研究では、こうした自然科学系の研究と人文社会科学系の研究とが有機的連携の下に実施されることが鍵となる。防災科学技術分野ではこれまで余り成功例が無い自然科学―人文社会科学融合型研究体制の構築に期待する。
[期待される効果]
期待される効果
成果の反映方法
関連分野への波及効果
国、県、地域それぞれのレベルで行われてきた各種の防災・減災施策が総合的観点から再評価されることは、各担当機関の施策の改善に貢献するとともに、民間のリスク・マネジメント産業にも影響を及ぼす可能性がある。特に、地域防災とその計画に対して新しい提案が期待される。
[その他]  
[総合評価]
A :新規課題として実行すべきである
B :新規課題として一部修正して実行すべきである
C :新規課題として再検討すべきである
コメント  

事前評価報告書
研究課題名:リアルタイム地震情報の伝達・利用に関する研究
評価委員会委員長名:虫明 功臣  作成年月日:平成12年11月20日

評価の視点 評 価 結 果
[研究目的と目標]
問題意識の明確さ
研究目標の妥当性
研究課題の独創性
地震情報が被害軽減のための活動に広く有効に活用されるようにすることは、基本的に重要な研究課題であり、本研究の問題意識とともに目標の設定は極めて適 切と言える。また、各レベルの最終ユーザーで組織される協議会で情報の種類、形式、伝達法などについての要望を把握し、実効ある研究を推進しようとする新たな試みは、高く評価できる。
[社会的背景]
必要性及び緊急性
国の研究計画との関連
独法人が実施する意義
本研究は、地震調査研究推進本部が国として当面推進すべき地震調査研究の主要な課題の一つに挙げているものであり、必要性、緊急性ともに高い。また、防災 科学技術研究所所轄の地震情報に付加価値を付けて広く提供すると言う研究は、独法人が実施するプロジェクトとして相応しい。
[研究構成と内容]
サブテーマ設定の妥当性
アプローチの妥当性
研究ポテンシャル
四つのサブテーマの設定とそれぞれの研究内容は、概ね妥当である。また、防災科学技術研究所のこの分野での研究ポテンシャルは高い。ただし、サブテーマ 1-(3)については、地震学としての研究課題と防災・減災のための情報提供としての研究を整理・峻別して推進するのが望ましい。
[研究計画と予算]
年次計画の妥当性
資金規模の妥当性
研究計画と予算規模は、概ね妥当と判断される。ただし、予算の年次計画に対応させて、研究の進捗に関する年次計画をもう少し明瞭にしておくことが望ましい。
[研究実施体制]
実施体制の妥当性
本研究プロジェクトが実効ある成果を上げるための重要な鍵の一つは、協議会の構成と機能にある。この協議会には、最終ユーザーだけでなく、地震情報を防災・減災情報に翻訳する役割を果たすリスクマネジメントや防災マネジメント等の研究者や専門家を加えることが望ましい。
[期待される効果]
期待される効果
成果の反映方法
関連分野への波及効果
本来この研究は、リアルタイム地震情報が各レベルで最大限活用されることを主旨としており、非常時の防災・減災のための施策や活動の向上に対して広汎かつ大きな効果が期待される。また、防災情報サーヴィスという新たなビジネスチャンスを生む可能性を持っている。
[その他]  
[総合評価]
A :新規課題として実行すべきである
B :新規課題として一部修正して実行すべきである
C :新規課題として再検討すべきである
コメント  

6.外部評価委員

(評価対象課題:「災害に強い社会システムに関する実証的研究」及び「リアルタイム地震情報の伝達・利用に関する研究」)

  氏 名 所 属
委員長 虫明功臣 東京大学生産技術研究所教授
委 員 島崎邦彦 東京大学地震研究所教授
委 員 鏡味洋史 北海道大学大学院工学研究科教授
委 員 盛岡 通 大阪大学大学院工学研究科教授
委 員 横田 崇 気象庁総務部企画課防災企画調整官
委 員 坪川博彰 損害保険料率算定会地震保険部業務グループリーダー

(順不同、敬称略)

7.委員会プログラム

平成12年10月18日(水曜)

10時30分~10時40分 所長挨拶 片山所長
10時40分~10時45分 委員紹介 矢澤管理部長
10時45分~10時55分 外部評価/スケジュール説明 石田総括官
10時55分~11時05分 委員内部検討
11時05分~11時34分 全体構想・計画の説明質疑応答
「災害に強い社会システムに関する実証的研究」
福囿主任研究官
11時34分~12時55分 サブテーマの説明・質疑応答
11時34分~12時10分 (1)広域的・長期的な災害管理戦略と手法に関する研究 福囿主任研究官
12時10分~12時55分 (2)災害に強い個人と地域防災システムに関する研究 佐藤照子室長
12時55分~13時30分 昼 食
全体構想・計画の説明質疑応答
13時30分~13時55分 「リアルタイム地震情報の伝達・利用に関する研究」 藤縄部長
13時55分~15時50分 サブテーマの説明・質疑応答
13時55分~14時24分 (1)強震動観測データリアルタイムシステムの開発・整備 藤原主任研究官
14時24分~14時55分 (2)即時地震情報解析システム開発 根岸研究員
14時55分~15時20分 (3)即時余振動活動予測システム開発 堀内部長
15時20分~15時50分 (4)情報流通システム開発 松本研究員
15時50分~16時30分 意見交換、まとめ

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