観測

地球の様子を知るために
、空や海や地面で観測を行います。
観測の結果は天気予報や防災に役立ちます。

人工衛星

「人工衛星」は、地球のまわりを回りながら様々な種類のセンサーで情報を集める機械です。ロケットに乗って宇宙まで運ばれ、そこで地球の引力に引っぱられつつ、落ちてこない速さで動くことで、地球のまわりをずっと回り続けています。
人工衛星にはいくつもの種類があります。天気を調べる衛星は、雲の動きや台風の発生を上空から観測し、雨や風の予報に活用されます。位置情報を伝える衛星は、地図アプリで現在地を知るのに使われています。また、宇宙や地球の環境を調べる衛星は、気候変動や自然災害の被害をいち早く把握しており研究開発にも役立っています。
人工衛星は宇宙という遠い場所にありますが、その働きはとても身近で、みなさんの毎日の生活を見えないところで支えています。未来にはもっと多くの衛星が宇宙で仕事をし、地球をより早く観測し、変化を素早 く見つけられるなど安全で便利にしてくれるでしょう。

地球観測衛星と気象衛星のイラスト。太陽電池パネルや観測機器を備えた人工衛星が2機描かれている。:イラスト

地震計

3種類の高性能地震計 
様々な地震を正確に測るために

長さを測るのに定規から巻き尺まで色々な道具があるのと同じように、地震による地面の揺れを測る地震計にもさまざまなタイプがあります。地震の揺れは大きさや揺れる速さの幅がとても広いため、目的に応じて主に3種類の地震計を使用しています。

高感度地震計

人間が感じられないような、
小さな揺れまで
敏感に記録できる地震計。

広帯域地震計

速い揺れからゆっくりした揺れまで、
広い範囲の揺れを測ることができる
地震計。

強震計

建物が壊れるような
強い揺れを
確実に記録する地震計。

この3種類を使い分けることで、地震による地面の揺れのようすをより正しくとらえることができます。

津波計

津波をすばやく知るために、海底には水の重さ(水圧)を測る「水圧計」が置かれています。海面が上がると、その分だけ海の重さが大きくなるため、水圧の変化を調べることで、海面の高さの変化をとらえることができます。
これまでの津波警報や注意報は、地震が起きたときの揺れ方から津波の高さを予想していました。しかし、地震の揺れだけで実際の津波がどれくらいの高さになるかを正確に判断するのは難しく、精度に限界がありました。
最近では、海域に水圧計を備えた観測網ができたことで、津波そのものを直接とらえることができるようになり、より早く、正確な情報を伝えられるようになりました。これは、住民の避難判断や防災・減災に大きく役立っています。

サーモグラフィ

「サーモグラフィ」は、ものの温度がどのように広がっているかを、目で見える画像にするカメラです。たとえば風景を撮ると、どこが温かくてどこが冷たいかを、色のちがいでわかりやすく教えてくれます。どうして温度がわかるかというと、ものは温かくなるほど赤外線(目に見えない光)を強く出すからです。サーモグラフィは、その赤外線の強さをとらえて、温度のちがいを色に変えて見せます。赤外線カメラとも呼ばれます。私たちがふだん使うカメラは、目に見える光(可視光線)をとらえるカメラで、可視カメラともいいます。サーモグラフィは、火山の観測に役立ちます。噴火の恐れのある危険な場所を離れたところから地面がいつもより熱くなっていないか調べることができ、噴火のきざしを早く見つける手助けになります。

火山の噴気地帯をサーモグラフィで撮影した画像と、その同じ場所の通常の空撮写真。サーモグラフィでは温度の高い部分が赤く、低い部分が青く表示されている。:画像

ライブカメラ

「ライブカメラ」は、日本の各地に置かれていて、リアルタイムで映像を送って配信するカメラです。川の様子や道路の通行状況などを見ることができます。大雨や地震などの災害時には河川の水位が上がっているか、堤防やダムが壊れていないか、川に土砂がたまっていないか、山や崖(がけ)が崩れたりしていないか、建物が被害を受けていないかなどの街の様子を把握するのにとても重要な役割を果たします。ほかにも、霧(きり)の状況を監視して、車などの交通規制や飛行機などの安全な交通の運行にも役立てられます。最近では、カメラ画像から、雨の量を推定する研究や、人が確認するのはとても大変な作業なので、AIなどを使って自動で分析する研究なども進められています。

ドローン

「ドローン」は、人が乗らなくても空を自由に飛ぶことができる小さな無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)です。プロペラとよばれる羽根がくるくる回ることで、まっすぐ上に上がったり、その場で止まったまま空中に浮かんだりできます。テレビなどで見たことのある空からの映像の多くは、ドローンで撮影されたものです。
ドローンは、上空から地面を詳しく調べる航空測量にも使われています。たくさんの写真を撮影し、それをもとに地形を立体的に表すことで、地面の高さや形の変化を正確に知ることができます。
そのほかにも、遠い場所に荷物を運んだり、土砂災害や火山などの災害の被害の様子を上から調べたり、人が入るのが危ない場所を確認したりと、たくさんの場面で活躍しています。ドローンは、人の代わりに空を飛んで調べたり届けたりできるため、今では社会にとってとても大切な道具になっています。
これからの時代、ドローンはより多くの情報を集め、より安全に、より遠くまで飛べるようになると考えられています。みなさんの身のまわりでも、ドローンが当たり前に使われる未来が近づいているかもしれません。

ヘルメットを着けた防災科研の職員が、野外でドローンを操作している写真。災害の被害状況を空から調べるためにドローンが使われている。:写真

気象レーダー

「気象レーダー」は、電波を空に向けて発射し、上空の雨や雪に当たって戻ってきた電波を調べることで、どこで、どれくらいの雨や雪が降っているかを観測する装置です。
レーダーは第二次世界大戦の頃に、飛行機や船を見つけるための機器として発達しました。しかし、画面に雨や雪も映ってしまうことが「邪魔な情報」と考えられていました。ところが、この雨や雪の分布を役立てられることが分かり、天気の観測に利用する気象レーダーが生まれました。
現在では、気象レーダーのデータを使って、数十分先の雨の変化を予測する「降水ナウキャスト」が作られ、急な大雨を早めに知ることができます。また、雨だけでなく風の情報も観測できるため、天気予報にも欠かせません。さらに近年は、より正確に雨の強さを測ることができる「マルチパラメータ(MP)気象レーダー」も広く使われています。

雨量計

「雨量計」は、雨がどれくらい降ったかを測る道具です。通常は、上が開いた筒にたまった雨の水深(mm:ミリメートル。簡単に「ミリ」とも呼びます)を測ります。1m2に1ℓの雨が降ると、水深は1mmになります。ただし、毎回ものさしで水深を読むのは大変なため、降った雨水を「ししおどし」のような装置に流し込み、その装置が傾いた回数で雨量を測るタイプ(転倒ます雨量計)が広く使われています。大雨は水害や土砂災害を引き起こすおそれがあるため、雨量を知ることはとても重要です。気象庁は「アメダス」と呼ばれる観測施設を全国に約1,300か所設置し、雨量計を使った観測を行っています。

百葉箱

「百葉箱」は、気温や湿度などを正しく測るため、主に温度計や湿度計が入っている白い箱です。温度計や湿度計に太陽の光が直接あたったり、雨にぬれたりしてしまうと正しい値が出せないので、百葉箱は直射日光を遮るとともに、側面の鎧戸(よろいど)構造によって風が通るようになっています。最近は、百葉箱のない学校も珍しくありませんが、理科の学習で天気や季節の違いによる気温や湿度の変化を調べたりするのに使われます。

草地に設置された百葉箱。白いよろい戸のついた箱が金属の支柱の上にあり、直射日光をさえぎりながら気温や湿度を観測するために使われる。:写真

水位計

「水位計」は、川や用水路などの水の高さを調べるための道具です。フロート(うき。水に浮かんで水の高さを知らせる部品)を水面に浮かべて計測するフロート式や、左のイラストのように、細長い管のようなタイプで水の中にセンサーを入れる水圧式などがあり、水の高さを自動で計り、その情報を監視システムに送ることができます。水位を調べることで、大雨のときに川や用水路などの水がどれくらい増えているかを早く知ることができます。水が急に増えて危険になる前に、避難の判断をしたり、橋や道路の安全を確かめたりするのに、とても大切な設備です。
また、水位計ではありませんが、右のイラストのように、壁に目盛りが書かれた板をつけて、水面がどこまで来ているかを見られる水位表示板などもあります。

水圧式水位計 川の中に細長い管のセンサーを入れて、水の高さを自動で測っている装置のイラスト。:画像
水圧式水位計
水位表示板 川の壁に目盛りが書かれた板が取り付けられ、水面の高さがどこまで来ているか一目でわかるようになっているイラスト。:画像
水位表示板

検潮所

「検潮所(潮位所、潮位観測所)」とよばれる白い小屋のような建物の中には、海面水位(潮位ともいいます)を自動で計測するセンサーや記録装置が入っています。潮の満ち引きや気圧、台風による高潮、津波などで海面がどのくらい上がったり下がったりしているかを、正確に調べることができます。
集められたデータは、気象情報や津波警報、船の安全な航行、港の利用などに役立てられています。海の動きを常に見守る、大切な観測設備です。

海のそばに建てられた検潮所の外観。海面の高さの変化を観測するための建物。:イラスト

観測網

地震計や津波計、気象レーダーなどの観測機器は、ひとつだけで使うのではなく日本中にたくさん設置して、つなげて使われています。このように、機器を広い範囲に配置して見守るしくみを「観測網」といいます。たとえば、気温や雨の量を観測するアメダス(AMeDAS)も観測網のひとつです。さらに、陸と海をあわせて、地震や津波、火山の動きをいつも見守る観測網もあります。

地球内部の探査船

地球の内部をくわしく調べるために、地球深部探査船「ちきゅう」があります。
「ちきゅう」は、海の上から海底を深く掘り進み、地球の内部の様子を直接調べることができる、世界でもめずらしい科学掘削船です。長いドリルパイプをつなぎ伸ばして海底に穴を掘り、岩石や地層のサンプルを取り出します。
これにより、地震が起こるしくみや、プレートの動き、地球の歴史などを調べることができます。
また、海底下深部の高圧や高温の環境下で生きる微生物の研究も行われています。
こうした観測や調査は、地震や津波などの自然災害を理解し、将来の防災に役立てるためにも重要です。

海底を掘削して地球内部を調べる、地球深部探査船「ちきゅう」。中央に高い掘削やぐらを備えた大型探査船が、海上に浮かんでいる。:写真
地球深部探査船「ちきゅう」
【写真提供】
国立海洋研究開発法人海洋研究開発機構

気候変動の探査船

地球の気候がどのように変化しているのかを調べるために、極域(きょくいき)も航行できる耐氷能力を備えた海洋地球研究船「みらい」がありました。
世界中の海を航海しながら、海や大気の状態を28年間にわたって観測しました。海の表面から深海までの水温、塩分、二酸化炭素の量、大気の成分などのデータから、海がどれだけ熱をためているのか、気候変動が海や大気にどのような影響を与えているのかを明らかにしました。
「みらい」のデータは、地球温暖化や気候変動を正しく理解し、将来の気候を予測するための重要な基礎となり、世界の認識を変えました。これからの極域観測は、砕氷機能を備えた「みらいII」が担っていきます。

氷の浮かぶ海域を航行する海洋地球研究船「みらい」。海や大気を観測し、気候変動の研究を行ってきたJAMSTECの研究船。:写真
海洋地球研究船「みらい」
【写真提供】
国立海洋研究開発法人海洋研究開発機構
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