受賞一覧
令和6年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)を受賞しました
水・土砂防災研究部門 清水慎吾主任研究員と前坂剛研究統括が、日本気象協会の増田有俊室長、気象庁気象研究所の加藤輝之部長、廣川康隆主任研究官とともに令和6年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞表彰を受けました。

気象庁気象研究所 加藤輝之 部長、廣川康隆 主任研究官、日本気象協会 増田有俊室長
本表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲向上を図り、我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的とし、文部科学大臣が毎年行っているものです。
このうち開発部門は我が国の社会経済、国民生活の発展向上等に寄与する画期的な研究開発若しくは発明であって、現に利活用されているもの(今後利活用されることが期待できるものを含む)を行った個人若しくはグループ又はこれらの者を育成した個人に授与されるものです。
表彰式は2024年4月17日に、文部科学省講堂で行われました。
受賞業績:線状降水帯の検出技術の開発
- 受賞者
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清水慎吾 主任研究員 水・土砂防災研究部門
前坂剛 研究統括 水・土砂防災研究部門
増田有俊 室長 (一財)日本気象協会 技術戦略室
加藤輝之 部長 気象庁気象研究所 台風・災害気象研究部
廣川康隆 主任研究官 気象庁気象研究所台風・災害気象研究部 第2研究室
- 受賞理由
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台風の直接的な影響によるものを除く集中豪雨の6割以上が線状降水帯に起因し、毎年のように線状降水帯による大雨で甚大な水害・土砂災害が発生している。そのため、線状降水帯をリアルタイムで把握する技術開発は喫緊の課題となっていた。
本開発では、過去3時間の雨量分布や気象庁の危険度分布を活用することで、災害発生の危険度が急激に高まっている地域における線状降水帯を自動的に検出する技術を開発し、警戒レベル4相当(自治体が避難指示を発令する目安)以上の状況把握が可能となった。さらに、線状降水帯を楕円で表示することで、専門家でない一般の人に分かり易く伝える工夫を行った。
本開発により、2021年6月17日から「顕著な大雨に関する気象情報」の運用が気象庁で開始された。この気象情報は「線状降水帯」というキーワードを用いて、非常に激しい雨が同じ場所で実際に継続しており、災害発生の危険度が急激に高まっている状況を解説するものである。
本成果は、緊急の避難行動を呼びかける情報として活用されるだけではなく、線状降水帯およびその危険性の認知度を向上させ、国民の安心安全に寄与している。 - 主要論文
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現業レーダデータを用いた土砂災害事例における線状降水帯の抽出
砂防学会誌、vol.69, p45~55、2017 年発表
Identification and classification of heavy rainfall areas and their characteristic features in Japan
Journal of the Meteorological Society of Japan、vol.98、p835~857、2020年発表
受賞コメント
文部科学大臣賞という歴史と栄誉ある賞を頂き、大変光栄に存じます。
2021年に気象庁に実装された線状降水帯の自動検出技術を考案し、自治体の防災担当者の役に立つ研究を推進できたことに大きな喜びを感じており、私たちの研究チームの成果を評価していただいたことを大変嬉しく思います。
線状降水帯による大規模水害は、気候変動に伴い、今後ますます増加すると予想されている中で、効果的な防災・減災に役立つ研究を、今後も積極的に推進していきたいと思います。
