報道発表
ICT技術を活用した愛知県実動機関合同救助訓練を実施
2023年11月20日
愛知県
国立研究開発法人防災科学技術研究所
愛知県(知事:大村 秀章)と国立研究開発法人防災科学技術研究所(理事長:寶 馨、以下「防災科研」という。)は、災害応急対策活動を行うために必要な被害状況を収集し、速やかに関係機関への伝達を行うことを目的として、下記のとおり「ICT技術を活用した愛知県実動機関合同救助訓練」を実施します。
この救助訓練は、大規模土砂災害を想定したブラインド型訓練(※1)で行い、陸上自衛隊、警察、消防により被災状況偵察を行い、ICT技術を活用した被災状況のリアルタイム共有等を行う実動訓練です。
またこれらの状況は、SIP4D(※2)を介して愛知県災害情報センター及び関係機関と共有します。
-
※1 ブラインド型訓練
シナリオ通りに進行するシナリオ型訓練と比較し、ブラインド型訓練はシナリオを作らず、臨機応変に現場対応を行う訓練。
※2 SIP4D(エスアイピーフォーディー)
災害対応に必要とされる情報を多様な情報源から収集し、利用しやすい形式に変換して迅速に配信する機能を備えた、組織を超えた防災情報の相互流通を担う基盤的防災情報流通ネットワーク。
1 訓練日時(訓練スケジュールは別紙参照)
2023年11月27日(月)午前9時から午後4時まで
2 場所
花菱建材(はなびしけんざい)株式会社 採石場 [豊田市夏焼町(なつやけちょう)クダリヤマ495-9]
3 訓練参加機関等
- (1) 主催
-
愛知県
国立研究開発法人防災科学技術研究所 - (2)参加機関
-
豊田市、陸上自衛隊、県警察、名古屋市消防局、豊橋市消防本部、春日井市消防本部、豊田市消防本部、尾三消防本部、海部南部消防組合消防本部、衣浦東部広域連合消防局、中部地方整備局
- (3)協力団体
-
花菱建材株式会社
4 訓練項目
- (1) 各実動機関による被災状況確認とSIP4Dを介した情報共有
-
- 発災直後の現場映像等先行部隊入手情報を自治体及び関係機関と早期に共有することで、事後の災害対応の迅速化及び救出救助活動の円滑化を図る。
- 各実動機関が収集した先行情報(ドローン・ハンディ等映像、写真・地図等画像、文字・音声などの情報)の共有を行う。
- ルート設定、ライフライン情報、道路情報、拠点候補地、救護所など、実動機関の直接的な活動に関する情報の共有を行う。
- (2) 愛知県災害対策本部(災害情報センター)及び合同調整所(現地指揮所)での調整
-
- 共有された情報を基に被災地域への部隊展開及び活動拠点等の検討を行う。
- (3) 救出救助活動及び夜間資機材の共有
-
- 救助活動に伴う連携内容の確認及び救助機関間の資機材の共有
- 夜間作業に向けた調整
- (4) ICT技術の有効活用
-
- 情報を共有する各場面において、口頭伝達に加え、ICT技術を有効活用する。
5 情報共有訓練(ICT技術の活用)
本訓練では、採石場全体を仮想の自治体に見立てて、デジタル地図上で被害状況を再現します。各実動機関が把握した被害情報を防災科研が提供するパイロットシステム(※3)に入力・統合し、地図上でリアルタイムに共有することにより、各実動機関における現場情報収集活動及び機関間調整に活用します。なお、本訓練にて防災科研が提供する情報プロダクツは次項(1)から(4)のとおりです。
-
※3 パイロットシステム
内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマート防災ネットワークの構築」サブ課題C「災害実動機関における組織横断の情報共有・活用」にて研究開発中の各実動機関において活動状況、被害状況を管理し、機関間の連携運用を支援するシステムのパイロット版。

- (1) 捜索・救助フェーズにおける被害現場状況の実動機関間共有
-
各実動機関の被災現場で活動する隊員が把握した被災状況をタブレットからの情報入力を介して地図上に統合しリアルタイムに共有することで、実動機関を跨ぐ各種相互調整における情報共有の有効性と課題を抽出します。
図2 被害情報入力・共有のイメージ図 - (2) 各実動機関隊員の映像・位置軌跡共有
-
各実動機関の被災現場で活動する隊員にIoTデバイス(※4)を携行させることで、現地合同調整所へリアルタイムの映像伝送と行動の軌跡の共有を行います。災害現場の最前線で活動する隊員が被害状況を共有するために、入力作業を伴わない情報収集を実現する場合の必要要件を抽出します。
-
※4 IoTデバイス
固有のIPアドレスを持ちインターネットに接続が可能な機器及びセンサーネットワークの端末として使われる端末。

- (3) ドローン撮影によるオルソ画像の作成と実動機関間の共有
-
各実動機関の被災現場で活動する隊員が把握した被災状況をドローンにて撮影し、オルソ画像(※5)を作成します。作成したオルソ画像を防災科研が提供するパイロットシステムに入力し共有することで、実動機関間でのリアルタイム被害状況可視化による効果検証及び実動機関間の調整におけるオルソ画像の活用要件、課題抽出を行います。
-
※5 オルソ画像
写真上の像の位置ずれを無くし、空中写真を地図と同様に真上から見たような傾きのない画像に変換したもの。

- (4)救出・救助活動実動訓練(固定ネットワークカメラの設置)
-
フィールド内の複数箇所に土砂災害現場での救出・救助活動の状況把握及び、二次災害防止の観点から固定のネットワークカメラにて撮影し、現地合同調整所からの指示を可能とします。
6 取材について
当日は、午前8時より報道受付を行います。また、午前8時15分から事前説明(安全管理事項、取材時の留意事項等)を行いますので、取材(現場撮影)を希望する方は、上記時間に必ずお越しください。
なお、訓練開始後は、午後1時から午後2時に取材対応をさせていただく予定です。
- (1) 取材上の留意事項
-
- 見学および取材にあたっては、現場の職員の指示に必ず従ってください。
安全確保のため訓練会場内の取材場所は限定させていただきます。 - 訓練現場は高低差のある採石場となっていますので、ヘルメット、安全靴等を着用下さい。なお、安全には細心の注意を払いますが、主催者に明らかに瑕疵があった場合を除き、見学者、報道関係者のけが、機材破損などの責任は負いかねますのでご了承ください。
- 取材、撮影の際は、プレス腕章の着用をお願いします。
- 工程および訓練会場の都合により、実施内容や予定が変更される場合があります。
- 気象状況等により、訓練の一部又は全部を変更または中止することがあります。
- 安全管理上、主催者の判断により訓練の全部または一部を中止する可能性があります。
- 施設内の機械、道具その他管理物については、触れないでください。
- 訓練会場内の駐車スペースには限りがありますので、ご留意ください。
- 訓練会場を管理する花菱建材株式会社への問い合わせはご遠慮ください。
- 見学および取材にあたっては、現場の職員の指示に必ず従ってください。
- (2) 参加申込
-
- 報道機関の方は、別送の詳細資料を確認のうえ、参加申込先へ11月24日(金)までにメールにてお申し込みください。
- 本訓練は安全管理上一般の方の御見学は御遠慮ください。
訓練スケジュール(予定)
- 9:00
-
1.訓練参加者に対する事前説明後訓練開始
【先行情報収集開始】
目視の状況把握に加え、ドローン等ICT技術の活用 - 10:00頃
-
2.先行情報収集後パイロットシステムへ入力
- 12:00頃
-
3.合同調整所開設
複数部隊の指揮官等により、合同調整所において救助活動場所の区割り、要救助者の情報共有など、救助活動に必要な調整を行う。4.部隊本隊による救助活動開始
3の調整後、先行情報収集部隊が入力した情報を参考に、指揮官の指揮により部隊の展開開始 - 14:00頃
-
5.夜間体制の検討
二次災害の恐れがないこと及び生存者にアプローチできており状況が切迫していることから、夜間活動に関する検討を行い、必要な夜間体制を確立する。 - 16:00
-
6.訓練終了 講評
※ブラインド型訓練につき、進行時間は概ねの目安です。