防災科学技術研究所 令和元年度成果発表会 概要集
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基盤的防災情報流通ネットワーク(SIP4D)防災情報研究部門 協働基盤研究室  半田 信之2020.2.13 令和元年度 成果発表会■防災情報を作る側と利用する側を結ぶ情報基盤である■複数の提供側と利用側を仲介するハブとなる■流通情報を用い災害対応機関の状況認識を統一できる地理情報を配信するフォーマットは統一化が進んではいるものの複数の形式が存在するため、要望が見込まれる配信形式の拡張対応が必要である。社会実装が進むと利用者も増大するた、えユーザーアカウントの発行など迅速な提供が行える機能が必要となる。災害対応に欠かせない仕組みとなるには、サービス中断等の信頼性向上が必須である。稼働状態がわかりやすく掲示できるしくみも必要であろう。提供が行われないとしても、どこに原因がわかるか迅速に把握することは重要である。SIP4Dは災害時に利用するシステムであると思われがちだが、一番重要なのは訓練や研究などの平時利用であると考えている。「普段使いされないシステムは災害時に使われない」と言われる通り「訓練で365日使用されています」という状態が理想である。平時が本番であることを意識し、府省庁・自治体の訓練で、過去の実データを利用したシナリオを活用したり、実際に被災を想定したデータを本番同様に投入・共有が気軽にできるような機能が必要だと考えている。災害にかかわる情報は、事前の観測情報、災害を予測した情報、発生時の情報、災害対応を通じ集められた情報など平時から発災時に至るまで様々存在する。これらの国内外のさまざまな機関が作成し公開している情報を集約・変換し、利用者へワンストップで提供する情報流通基盤がSIP4Dである。情報流通では、提供する側と利用する側が欲するデータフォーマットの不一致が発生することが多い。SIP4Dではそれら差異を吸収できるよう、ある形式で提供されたデータを、利用者側が欲する様々なフォーマットに変換する機能を装備している。この変換機能によりシステムの相互接続が容易となり情報流通効率を向上させている。SIP4Dで扱う情報は、まさに今起きている災害現場で利用すべきデータを取り扱うことも多く、集約から変換、配信までの一連の仕組みを自動化し迅速に提供できるよう設計されている。リアルタイムで提供が行われる同一の情報を災害現場の各機関が共有できれば、対応組織同士の状況認識の統一が促進されるのである。防災科研でもISUT(アイサット︓災害時情報支援チーム)やNIED-CRS(防災科研クライシスレスポンスサイト)を通じSIP4Dを活用している。特にISUTではシステムとしてのSIP4Dをどう「人が行う災害対応」におとしこむかという観点から、災害対応部局や災対本部に対し様々なフォーマット(紙・デジタルデータ・GISシステム)を提供できる仕組みを構築している。

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