防災科学技術研究所 令和元年度成果発表会 概要集
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E-Defense実験データアーカイブの構築と利用実績地震減災実験研究部門  松森 泰造2020.2.13 令和元年度 成果発表会公開データ ファイル数020,00040,00060,00080,000100,000120,000140,00002,0004,0006,0008,00010,00012,00014,0002009/092010/092011/092012/092013/092014/092015/092016/092017/092018/092019/09ダウンロード ファイル数(月ごと)計測データ(CSV)映像(mpg等)それ以外ダウンロード数年月1つのCSVファイルに64波■E-Defense実験データ総計︓波形データ約300万、映像ファイル10万超■解析コード等の検証に役立つデータの創出と外部利用促進が課題実大三次元震動破壊実験施設(E-Defense)における実験研究で取得された全データ(計測データ,映像データ,諸元説明書)を格納・保管するため、E-Defense実験データアーカイブシステム(ASEBIと称している)を構築し、実験装置稼働開始4年後の2009年9月より運用を行っている。2019年11月末現在、実験件数104件、計測データCSVファイル50,107個(波形の数=約300万)、映像ファイル103,981個、データ総量34.4TByteをASEBIに格納している。ASEBIは防災科研内部のみならず、外部の登録ユーザもアクセスできる。「実験データの公開」により、より大きな研究コミュニティでの成果の創出を期待するものである。しかし、構造実験のデータとは、実験者の創意工夫とノウハウの結晶でもあり、実験データを直ちに公開することは実験者のモチベーションの消失につながりかねない。そこで、実験者のインセンティブとして、実験終了からデータ公開までに一定の猶予期間を設けている。2019年11月末時点で、データ公開実験件数は67件である。※ASEBIは下記URLよりアクセスできる。http://www.bosai.go.jp/hyogo/asebi/dataopen_1.htmlシステム運用開始以来ののべ利用者(ユーザー登録制。有効期間1年間)2,087人、累計ダウンロードファイル数182,773個、月間ダウンロード数の推移は下図の通りである。構造実験分野では他に類を見ないシステムであったこともあり、運用開始当初は「鋼構造建物実験」などの実験データが大量にダウンロードされた。その後しばらく低調であったが、近年は、文部科学省「都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト」(平成24~28年度)で行われた実験研究で取得された損傷検知のためのモニタリングシステムに関わるデータ(下図ではファイル種類”それ以外”に計上)のダウンロードが増大している。図.ASEBIにおける公開データファイル数とダウンロードファイル数の推移ASEBIの外部利用は未だ多いとは言えない。過去の実験は、独創性を追求するが故に複雑・特殊な特性・構造を含み一般化し難かったり、実施者以外では扱いづらい面もあった。より一層、設計手法や解析コードの検証に役立つ実験データの蓄積が必要である。また、膨大なデータ・映像の中から必要な情報を一般の方でも抽出しやすい、ユーザーインターフェースの開発を行っていく。

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