災害時の衛星データ利用の社会実装戦略国家レジリエンス研究推進センター 宮崎 景太2020.2.13 令和元年度 成果発表会■技術研究組合をきっかけとした衛星データ利用の社会実装化を提案■技術研究組合での利用ガイドライン策定等政府実用化実証の実施■インフラ等国土監視分野での衛星データの平時利用の開拓戦略的イノベーション創造プログラム「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」(以下、SIP 防災)のテーマⅡ「衛星データ等即時共有システムと被災状況解析・予測技術の開発」の研究開発を推進している。技術開発目標として、自然災害の発生エリアを観測・予測データから推定し、その情報から衛星等により観測を行い、衛星データ等を即時に一元化及び共有化するシステム(リモートセンシングデータ即時一元化・共有化システム)を開発すると共に、被災状況の解析技術及びシミュレーションによる予測技術、リモートセンシングデータ提供のためのプラットフォームを開発する。技術開発に並行して、社会実装戦略の具体化を進めている。社会実装に向けた出口目標としては、衛星データ等の即時一元化・共有化システムは政府が運用するシステムとして構築を目指す一方、衛星データ解析技術は政府や民間での利用が想定されるため、民間主体で運用するシステムに構築することを目指す。また災害時の緊急対応時のみならず、平時を含め衛星データ等が持続的に利活用可能な仕組みを構築することを目指す。衛星データ解析技術の社会実装化の実現に向け、SIP防災共同研究機関等と共同で技術研究組合を設置し、利用推進・政府実用化実証等を実施、事業化判断の後、民間事業会社への移行という段階的な体制構築案(下図参照)を提案する。技術研究組合では、SIPでの技術開発・社会実装化を進めると共に、省庁・自治体向けに衛星利用ガイドライン策定・災害協定・利用促進/教育などを行い、省庁・自治体での防災分野での衛星データ利用を促進する、先導的な役割を担う。図衛星データ解析技術の社会実装化の体制構築案災害時の衛星データ利用は、国土交通省・気象庁・国土地理院等でのALOS-2データ利用が進む一方、他省庁や自治体、さらには民間での利用は限定的である。今後、ALOS-3/4や小型衛星の打上げが計画され、衛星コンステレーションによる撮影頻度が高まるなど、衛星データの利用価値が高まる。SIP防災の社会実装化、特に衛星データ解析の民間サービス事業化を実現し、多量・多様な衛星データを自動解析し提供する仕組みや体制を構築することが利用を定着・拡大させるために不可欠である。持続的な民間サービス事業の構築には、災害時のみならず、平時の利用を開拓することが重要である。インフラ監視などの国土監視分野はSARデータによる変位解析が有効に利活用できれば、省庁・自治体・民間での幅広い利活用が見込まれる。この分野を中心に、利用ユーザ開拓・PoC(ProofofConcept)・実用化実証等を民間と連携し推進する所存である。この研究は内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」の一環で実施しています。
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