着雪予測手法の開発に向けた取組雪氷防災研究部門 佐藤 研吾2020.2.13 令和元年度 成果発表会■着雪試験方法の標準化への取り組み■雪氷防災実験棟における着雪試験■面的予測の試験運用と今後の展望着雪とは南岸低気圧が日本列島を通過する際などに、強風下で水分を含んだ雪が降り、多量の雪が構造物などに付着する現象のことである。湿った雪は物体に付着しやすいため、その重さにより樹木の倒木、鉄道・電力設備の損壊、高層構造物からの落雪など社会インフラへの被害多く、その被害軽減たのための対策が課題である。モデル構築、高精度のためには観測データは重要であるが、すべての環境条件を網羅できないため、試験標準化による手法を用いて雪氷防災実験棟で、系統的な試験の実施により定量的データを補完することが有用である。基礎研究によりモデル構築を図るが、共同研究では様々な構造物への着雪現象や対策品の開発、検証なども実施し、将来的には特定の対象物のモデル化も検討する。着雪予測状況の推移(実際は1時間ごとの予測だが、ここでは3時間ごとに表示)着雪メカニズム解明のための適切な試験手法の標準化は、着雪対策物の性能評価や開発に大きく寄与することが期待されるものである。まず業界標準化として公表し、様々な意見等を収集し国内標準を目指し。一方、性能検証等を目指した国内基準化に向けては、試験の再現性や効率性、特定の対象物への基準を考慮すると施設および装置の改修、新規導入などを念頭に検討を進める。本研究では、被害軽減のために観測および実験によりメカニズムを解明・モデル化し、予測手法の開発することを目的としている。メカニズム解明のためには実験によりデータ蓄積する必要があるが、その手法が確立していないことから、気象災害軽減イノベーションハブを事務局として、「着雪試験方法の標準化のための検討会」を開催し、所内外の構成員と検討を進めている。図に示すように、着雪の面的予測については、国土地理院の地図上に着雪ポテンシャルを表示している。試験運用によりNEXCO中日本(株)や東武スカイツリー(株)に情報を提供している。着雪が予測される場合は情報を整理し、予測情報の解説をしている。今後、予測結果と観測結果を検証し、着雪予測の高精度化に努める。雪氷防災実験棟を利用した着雪試験により取得したデータ等により作成した簡易な着雪モデルと、気象庁のMSMデータの5kmメッシュの気象予測値を組み合わせて面的予測データを作成し、社会インフラを有する企業などとの共同研究として試験運用を実施している。予測情報は1時間ごとに29時間先までの着雪から落雪までの状況を発信している
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