災害動態解析による異状検知技術の開発防災情報研究部門 災害動態研究室 庄山 紀久子2020.2.13 令和元年度 成果発表会■自然動態観測と社会動態観測による災害動態の把握■動的分析に基づく時空間変異の検出■初動・応急対応フェーズに不可欠な観測システムの開発図台風19号阿武隈川(左図)および千曲川(右図)における観測水位(自然動態観測)とTwitter(社会動態観測)による検証事例様々な災害現象や地域の時空間的変異を自動的かつ定量的に検出することは、国難災害における国・県レベルの意思決定において有効であり、今後さらなる自然・社会動態観測技術の高度化とよりプロアクティブな情報取得が必要不可欠である。時空間的な①異状・異変(emerging change)、②空間的偏移(spatial deviation)を検出する動態解析技術の開発によって、災害にかかわる変異をいち早く検知する網羅的観測システムの開発に貢献する。はじめに初動・応急対応フェーズにおける災害状況の迅速な把握には、自然現象の観測情報と社会動態情報を活用した災害動態の動的分析によって、災害時に起こり得る時空間変異である異状・異変(emerging change)および空間的偏移(spatial deviation)をいち早く検出することが必要である。研究手法発災時に取得したデータを用いて、災害動態における時間的変異の検出を試みた。今回はSNSによる社会動態データ*1)に勃発(outbreak)指標*2)を適用し、自然観測データである観測水位との相関を検証した。令和元年台風19号における事例分析阿武隈川および千曲川の決壊・浸水地域におけるTwitterデータの時系列分析の結果、分類カテゴリ*3) 「決壊・氾濫」・「浸水・冠水」において勃発が検出された(図)。一部の地域ではTwitterデータによる異状検知は氾濫危険水位を超えた時間とほぼ一致していたが、必ずしもSNSによる発災情報は氾濫危険水位と一致しないことから、今後さらに複数の自然観測データとの相関分析によって、より詳細な異状検知技術の開発を進める。注*1)高度自然言語処理プラットフォーム(NLPPF)により取得したデータを使用*2)E-Divisive with Medians (EDM)*3)NLPPFにおけるオントロジ―大分類「災害」中分類「決壊・氾濫」「浸水・冠水」を採用引用※決壊箇所:統合災害情報システム※浸水域:国土地理院浸水推定段彩図①②③④Twierデータに勃発が確認された地域・分類観測水位引用※決壊箇所:統合災害情報システム※浸水域:国土地理院浸水推定段彩図Twierデータに勃発が確認された地域・分類観測水位①②③④
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