防災科学技術研究所 令和元年度成果発表会 概要集
138/144

南海トラフ海底地震津波観測網N-netの構築南海トラフ海底地震津波観測網整備推進本部2020.2.13 令和元年度 成果発表会■南海トラフ地震:今後数十年に発生が懸念される国難地震■この巨大地震に対応する新たな地震津波観測網を構築■N-netを2019年度から2023年度の5年で構築し迅速な津波や地震の検知を可能に津波警報や緊急地震速報を早く正確に出すためには、観測が欠かせません。2011年東日本大震災では海域における観測が不十分であったことから、津波警報や緊急地震速報が過小となり、多くの人命が失われる一因となったといわれています。1995年阪神・淡路大震災や2011年東日本大震災を契機に、日本における地震や津波の観測体制は劇的に変革しました。防災科研が整備し運用している陸海統合地震津波火山観測網MOWLASは、全国に2100点以上の観測として観測の空白域です。このような状況を打開するため、防災科研では地震調査研究推進本部の方針を受け、南海トラフの想定震源域の西側に新たに南海トラフ海底地震津波観測網N-netの構築を進めています。N-netは、高知県の室戸と宮崎県の串間に陸上局を持ち、高知沖から日向灘にかけての海域の36点において地震及び津波のリアルタイム観測を可能とする観測網です。N-netの概要海域における地震や津波の観測は人の住んでいない地域への観測の延長であり、早期検知という意味では猶予時間を稼ぐことで、より早く正確な警報を出すことが可能になります。現在整備を進めているN-netでは、今に比べて津波を最大で約20分、地震を最大で約20秒早く検知できると見込まれています。また、より震源に近い場所で観測を行うことで当該海域における地震に関する理解が進み、将来的に防災につながる研究成果が期待されています。地震動最大20秒程度早く検知します津波最大20分程度早く検知します点を持っており、特に陸域における観測体制は世界に冠たるものといえます。しかしながら海域における観測は、日本海溝や熊野灘沖から室戸岬沖などに限られており、今後数十年の間に発生することが懸念され、国難ともいうべき甚大な被害が想定されている南海トラフ地震の想定震源域の西半分は依然陸上局陸上局地震・津波データ沖合システム沿岸システム地震・津波データ分岐装置・終端装置ノードのイメージ地震計や津波計を装備観測ノード地方自治体民間N-netによる地震や津波の検知への貢献宮崎県串間高知県室戸

元のページ  ../index.html#138

このブックを見る