防災科学技術研究所 令和元年度成果発表会 概要集
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除雪ロボット開発構想雪氷防災研究部門/気象災害軽減イノベーションセンター  上石 勲2020.2.13 令和元年度 成果発表会■除雪事故中の犠牲者は増加■除雪オペレーターの高齢化、技術の伝承課題■除雪ロボット開発に必要な技術開発雪国での道路除雪や屋根雪処理は住民、行政、道路管理者の大きな負担となっている。雪による犠牲者のうち、雪処理中の事故が9割を占めており、大雪年では100名以上の方が犠牲となっている。また、除雪のオペレータの高齢化が進んでおり、60歳以上の高齢者が半数を超えている。さらに、最近は太平洋側でも大雪となって、高速道路が長期通行止めになるなど、経済的な損害も大きい。このような状況を解決する方法のひとつが除雪ロボットである。除雪ロボット開発には次の要素技術が必要である。①センシング技術・雪の状態(雪質、雪温、重さ)を非接触で測定する技術・雪の堆積形状をリアルタイム、非接触で測定する技術・GPSによる除雪位置の詳細把握・降積雪、交通量情報から最適除雪路線を決定する技術②除雪制御技術・雪の状態、堆積形状に合わせて除雪する技術○道路除雪・VR活用道路除雪無人化(リモート操作)技術の開発・自動運転道路除雪車の開発、排雪場所まで運搬技術開発○屋根雪処理・VR活用屋根雪処理無人化(リモート操作)技術の開発(地上ロボット、UAV)・自動屋根雪処理ロボットの技術開発(地上ロボット、UAV)・排雪場所まで運搬技術③雪の下になる道路構造、住宅施設のデータベース構築・道路構造3次元ダイナミックマップデータベース・住宅施設3次元ダイナミックマップデータベース図低気圧に起因する表層雪崩危険度予測の表示例上記の要素技術については、防災科研単体ではなく、自動車、重機などの機械メーカーと協力の下、道路管理者と共同で技術開発を雪の密度や硬さを把握するセンサーも電子機器メーカーと共同開発を進める。今年度からは長岡市除雪イノベーション研究会(会長︓上石勲)も開催され、地元長岡において実証実験を行っていく予定である。防災科研は、2014年度から気象災害軽減イノベーションセンターを設立して、民間のIoT技術も活用できるハブを形成してきた。雪国だけでなく、非雪国の雪対策として、この除雪ロボットは重要な技術である。さらに、物流業界との連携により災害によるサプライチェーンの崩壊を防ぐためにも、最新の技術を取り入れた防災システム開発を進めていく予定である。除雪コントロールセンター自動除雪機による道路除雪オペレーターによるVR活用除雪ロボット操作UAVによる屋根雪処理

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