加震映像の防災教育への活用地震減災実験研究部門 青木 崇2020.2.13 令和元年度 成果発表会2019.○○.○○○○○○○○○○○○○加震映像の防災教育への活用地震減災実験研究部門青木崇2020.2.13令和元年度成果発表会■防災教育の充実による防災基礎力の向上■子供たちに向けての防災教育コンテンツの作成■映像情報、音声情報の活用による被災状況の推定内閣府中央防災会議にて、今後発生するおそれのある大規模地震への防災対策の課題として検討すべき施策、個別の具体的な施策をまとめた大規模地震防災・減災対策大網によれば、事前防災として防災教育・防災訓練の充実があげられている。地震は、豪雨災害などの災害と比較して発生の瞬間を予測することが困難であり、地震発生時の個人がとるべき行動についての知識や対策方法について、平時に個人個人で学び、理解し、対策を講じて備えることがより重要となる。これまで建物の地震対策として耐震、制震、免震といった取り組みにより建築物の耐久性、健全性を評価する実験研究を行うことで対策技術の向上に務めてきた。これらの研究により、建物の耐久性、健全性は向上したが、家具の転倒をはじめとする室内環境については個人の防災意識の向上を図る必要がある。兵庫県三木市のE-ディフェンスでの実験を効果的に活用し、効率的な防災教育を行うことで人的被害を軽減することを目的とする。本研究では、試験体内に一般家庭の室内を想定した部屋を作成し、360°全天球カメラにより加震中の室内映像を撮影することで、地震発生時建物内部がどのようになるかをVR空間で体験、学習することで、防災教育の充実と取り組んでいる。単に撮影された映像を流すだけでなく、ナレーションの追加による実験の説明や家具の転倒予想をクイズ形式で出すなど能動的な体験学習という形での取り組みを行った。他に、実験を見る際人は、試験体を注視してしまい、試験体の動きを無意識に追ってしまうことから、実際の動きより小さく感じてしまうことがある。これらを加震前の試験体を半透過として残すといった画像処理技術の活用による取り組みを行っている。図1VR動画の撮影とその体験風景2019年2月の実験では木造3階建て建物2棟それぞれの室内にて加震中のVR動画撮影を行った。一般家庭を想定した建物内部を撮影することで、一般の方が生活している状況をイメージしやすい映像(図1)を撮影することができた。これらのVR映像を東京北の丸にある科学技術館にてプロジェクターを活用した3面スクリーンによる体験や、子供でも視聴可能な簡易的なVRゴーグルを作成し体験を行った。近年、カメラの高解像度化が進んでいることから、得られた映像や音声情報を分析することで、被災状況の推定を行うことに取り組んでいる。これまで光学式に加速度等を取得するには、対象物へ特殊な反射用のマーカーを取り付けるなどの光学式モーションキャプチャシステムなどによる高価かつ高精度な機器により行われていた。これを、ディープラーニングにより対象物を学習、追尾させ、その変位を観測、加速度を算出させることで、民生品カメラによる加速度算出、その情報を用いた被災状況の推定などへ活用してく。
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