〒305-0006 茨城県つくば市天王台3-1 Tel 029-851-1611 Fax 029-851-1622気象災害に伴う重要ライフラインの被害及び復旧過程の定量的評価手法災害過程研究部門 永田 茂2020.2.13 令和元年度 成果発表会■2018年、2019年の気象災害調査に基づく物的被害、被害波及、復旧過程の基本モデルの検討■気象災害の被害、被害波及、復旧過程の予測手法の構築■気象タイムラインにおける予測情報の利活用検討大規模な気象災害発生時に重要ライフライン・インフラの広域被害を効率的に復旧することは、機能的被害波及による2次被害の発生を抑止・低減するほか、市民生活の復旧・復興や行政・企業の事業・サービスの継続性の向上に多大な貢献をすることは、過去の地震災害における取り組みからも明らかになっている。特に、2018年(平成30年)7月豪雨災害に伴う重要ライフライン・インフラの長期機能支障、2019年(令和元年)9月台風第15号の強風に伴う長期停電、2019年(令和元年)10月の台風19号の広域かつ多地点洪水に伴う重要ライフライン・インフラの長期機能支障など、気象災害による社会機能の甚大な影響発生が顕著になっており、物的被害、機能的被害波及の適切な把握と共に復旧期間を最短化させるための対策の立案が求められている。本研究では、これまでの地震災害時におけるライフライン・インフラの被害予測手法、機能支障波及予測手法及び復旧過程予測手法に関する研究成果を踏まえ、大規模かつ広域の気象災害発生時における物的被害・機能支障波及と復旧過程の実用的な解析方法を提案すると共に、事例解析を通して大規模気象災害の発生時の社会機能維持のための対策立案における利活用の可能性を検討するものである。これらの検討によって、現状の重要ライフライン・インフラのシステムに内在する脆弱性の抽出とその対策支援における活用可能性に関する検討を行う。また、研究成果を国内外で広く公表するとともに、関連する研究者、自治体、ライフライン事業者などに対して研究成果の展開を行う。気象災害による重要ライフライン・インフラの物的被害の機能被害波及を考慮した復旧過程の基本モデル案構築した重要ライフライン・インフラの物的被害予測手法、復旧過程予測手法を用いて広域洪水災害や強風災害に関する被害予測、機能的被害波及予測、復旧過程予測の評価事例を示す。この際に、気象災害の防災対策で活用が進められているタイムラインの中での活用を念頭に置いて、タイムラインの各段階で求められる被害予測、機能的被害波及予測、復旧過程予測結果の出力方法や要求精度を検討する。本研究は、近年の気候変動に伴う豪雨・強風などの大規模気象災害に伴う重要ライフライン・インフラの被害・機能支障波及と復旧過程を定量的に予測する方法を構築するとともに、住民や企業の自主的な対応行動を促すことのできる重要ライフライン・インフラ関連の被害・復旧情報がどのようなものであるかを明らかにして、具体的に被害・復旧情報を提供する科学的・技術的方法を提案することが学術的核心である。
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