〒305-0006 茨城県つくば市天王台3-1 Tel 029-851-1611 Fax 029-851-1622小型温度ガス可視化カメラの開発火山防災研究部門 實渕 哲也2020.2.13 令和元年度 成果発表会mc05mc05■火山観測用の小型温度ガス可視化カメラを開発中■防災科研が開発してきた航空機搭載型画像センサの技術を応用■ポータブルな小型装置を実現することで新規な火山観測手法を提供火山の地熱温度分布、噴煙、火山ガスの面的観測情報は、火山の活動度や火山災害の状況把握に資する重要な情報となります。これらの観測を実現するために、衛星、航空機、地表からの光学的な遠隔観測技術(リモートセンシング)が活用されています。......................防災科学技術研究所では、独自の光学的なリモートセンシング装置である、火山観測用の航空機搭載型画像センサ(画像分光装置)の開発・運用を行っています。これまでに、1990年に1号機︓VAM-90Aを、2006年に2号機の航空機搭載型ハイパースペクトルセンサ︓ARTSを開発しました。その結果、これらの装置を用いることで、肉眼では不可視の火山の地熱温度分布や火山ガスの濃度分布を航空機から可視化する手法を実現し、火山観測に活用しました(図1上段参照)。......しかし、開発したこれらの装置は、大型(1m、100kg以上)であるため、その運用には専用の航空機を必要とすることなどから、この観測装置の普及は容易ではありませんでした。そこで、装置の小型化のため、2015年6月に、2.5号機のARTS-SEの開発を行い、近年発展の著しいカメラ型のセンサを活用することで、火山の熱・ガス等の分布を計測する可搬型の小型装置の実現可能性が検証できました。........以上の技術開発を受け、本研究では、2台の最新の小型赤外線カメラからなる、火山体の温度分布と火山ガス(SO2ガス)の可視化に特化した装置︓小型温度ガス可視化カメラ(SPIC-UC)の開発を2016年から実施しています。これまでに、大型装置の性能に近い精度(感度)で、温度、ガス分布を可視化する試作機を実現できました(図1下段参照)。..C図1.小型温度ガス可視化カメラ(SPIC-UC)の開発背景、SPIC-UC試作機、温度ガス可視化機能の検証開発した小型温度ガス可視化カメラ(SPIC-UC)の試作機は、現時点では、環境の整った実験室内で使用する仕様です。今後、この試作機を屋外で実際の火山観測に使用できるように、耐環境型のカメラハウジングの開発を行う予定です。これに加え、現時点の観測精度である0.6Kを、大型の観測装置の観測精度と同等の、0.3K程度とする装置の性能改善を実施する予定です。......................以上の開発を実現した後、活動の活発な火山を地表・航空機等から観測し、火山の温度分布、ガス濃度分布の本装置による計測技術を確立し、その活用・普及を目指します。.....防災科研の航空機搭載型画像分光装置小型温度ガス可視化カメラ(SPIC-UC)試作機SPIC-UCの温度ガス可視化機能の検証装置の温度感度:0.6KSO2ガスに近い吸収特性を有するHFC152aガスによる吸収(温度低下)Camera 2SO2ガスによる吸収(温度低下)装置の温度感度:0.36K2001/12/17三宅島VAM-90A(改)によるSO2ガス観測異なる2波長(ガス吸収・有/無)を計測する赤外カメラ1号機:VAM-90A2号機:ARTS2.5号機:ARTS-SEwhisk-broom双発機搭載push-broom双発機搭載push-broom + frame単発機搭載(1990~2005年)(2006~2015年)(2015年~)温度温度+ガス温度+ガス+地形50cm可視・赤外カメラ可視センサ赤外センサ赤外センサ近赤外センサ100kg150kg100kg可視センサ(Camera 1:ガス吸収無を観測)(Camera 2:ガス吸収有を観測)小型化総重量3kg以下5cm
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