防災科学技術研究所 令和元年度成果発表会 概要集
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〒305-0006 茨城県つくば市天王台3-1 Tel 029-851-1611 Fax 029-851-1622全市区町村を対象とした地震リスク指標の試作マルチハザードリスク評価研究部門  土肥 裕史2020.2.13 令和元年度 成果発表会■全国の市区町村ごとに潜在する地震リスクがわかる。 ■10項目の指標で地震リスクを評価できる。 ■潜在する地震リスクを地域間で比較できる。 近い将来の発生が想定される巨大地震に対して、各々の地域が有するリスクを把握し、それに応じたリスクマネジメントを行うことは喫緊の課題である。本研究では、効果的な地震リスクマネジメントに資するリスク指標作成の第一歩として、確率論的ハザード情報や地域ごとの曝露データを用いて、市区町村ごとに潜在する地震リスクを定量的に明示したリスク指標を試作・提案する。具体的には、①どのような要因で被害が生じるのか(ぺリル)、②どのような対象物が被害を受けるのか(エクスポージャ)といった、2つの観点から地震リスクを評価できる指標を作成する。ぺリルは地震の発生に起因する地震動、液状化、火災、土砂災害、津波の5項目、エクスポージャは建物被害、人的被害、ライフライン被害、交通インフラ被害、産業被害の5項目、計10項目をリスク指標として設定した。 ペリル、エクスポージャの各項目のリスクは以下の式で表現する。 ⃝各主体による地震リスクマネジメントの効果を反映できるよう、リスク指標の作成をすすめる。 ‣国や地方自治体、民間企業による、効果的な防災投資などのリスクマネジメントに貢献する。 ⃝地震のみならず、風水害などの各種自然災害を対象とした共通のリスク指標の作成をすすめる。 ‣各種自然災害リスクを直接比較できる指標を提案し、より効果的なリスクマネジメントに貢献する。 R = D ⁄ Eα R:リスク, D:損失額, E:エクスポージャの賦存量(金額), α:パラメータ(0のときRは損失額, 1のときRは損失率を表す) 図 地震リスク指標の表示例(偏差値が高いほどリスクが高いことを示している) 本ポスターでは、地震リスク指標の表示例として、リスクを損失額として評価した場合の、地震動のペリル、建物被害のエクスポージャそれぞれについて、全国の市区町村ごとに偏差値で比較した 分布図(全国版)、および東京都杉並区における地震リスク指標のレーダーチャート(市区町村版)を紹介する。

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