防災科学技術研究所 令和元年度成果発表会 概要集
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〒305-0006 茨城県つくば市天王台3-1 Tel 029-851-1611 Fax 029-851-1622■南海トラフ巨大地震が日本経済全体および各地域に与える影響を定量評価する広域概観版経済被害予測システムの開発■ハザード情報の空間解像度を生かした曝露モデルの構築および、一般均衡モデル等による直接的・間接的経済被害分析総合科学技術・イノベーション会議が進めている戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の課題「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」の一環として、防災科学技術研究所では南海トラフ巨大地震発生後の経済早期復旧支援を目的とした広域概観版経済被害予測システムの開発を進めている。このシステムは、全国を対象とした民間資本ストックモデルや、その資本ストックに対しハザードが与える影響の度合いを評価する手法、さらにその影響が地域や産業を超えて経済全体に波及する効果を適切に考慮した経済モデルを組み込むことによって実現する。具体的には試算した多数の経済被害シミュレーション結果や被害シナリオをデータベース化、シナリオごとに経済被害を概観できる可視化システムを構築し、利用者による事前対策の効果算定や、地域や企業等のBCP・訓練の効果的な検討を支援可能にする。さらに、広域経済早期復旧支援のため、既存のSIPリアルタイム被害推定・状況把握システム(J-RISQ)の被害に関する情報を取り込み、地震発生後の広域での経済被害のモニタリングを目指す。システムの実現に向けて、これまで地震・津波による経済被害予測のための基盤的な曝露モデルとして、地震動・津波浸水深予測で利用されている空間解像度に適応したメッシュ単位の産業別民間企業資本ストックモデルを構築した。具体的には、内閣府が公表する民間企業資本ストックの全国値データ等から、各年の新設投資額、除却額等を推定しながら都道府県別民間資本ストックを推計した上で、統計データや土地利用メッシュ等を基に空間分解能を細分化し、メッシュ単位の産業別民間資本ストックモデルを構築した(32産業分類)。構築したモデルは、内陸部は250mメッシュサイズ、沿岸部は50mメッシュサイズの空間分解能を持っており(全国で約5,900万メッシュ)、地震動や津波浸水深のハザード情報をより反映した経済被害予測が可能となる。広域概観版経済被害予測システムの概要広域概観版経済被害予測システムの開発マルチハザードリスク評価研究部門  中村 洋光2020.2.13 令和元年度 成果発表会

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