防災科学技術研究所 令和元年度成果発表会 概要集
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揺れ・津波被害を再現可能な巨大地震の震源モデル構築地震津波防災研究部門  プリード ネルソン2020.2.13 令和元年度 成果発表会■建物及び津波被害予測可能な震源モデルの構築は重要。■巨大地震のマルチスケール震源モデル推定手法を開発。■年コロンビア・エクアドル巨大地震の津波・震度データを再現。海溝型巨大地震の発生メカニズムやそれらに伴う津波および揺れによる被害を正確に予測することは極めて重要である。そのためには、多様な災害を同時に予測出来る統一的な震源モデルの構築が必須である。また、発生頻度の少ない巨大地震に伴う被害過程を理解するためには日本だけに限らず全世界で発生する巨大地震の研究が必要である。年月日に南米北部の太平洋沿岸で巨大地震が発生し(エクアドル・コロンビア地震、)、広域において大きな津波及び建物被害が発生した。それらの災害を再現するために広帯域波長すべりモデルの作成手法の開発を行い、年地震の歴史津波記録及び震度分布データ(図1上左)を用いて、地震の広帯域波長すべりを推定した。この滑りモデルの特徴は大きいアスペリティ(長波長すべり)に加えて小さいアスペリティ(短波長すべり)が震源域上に均等に分布していることである(図1下)。このすべりのフラクタルな特徴によって、津波は長波長すべり、建物被害を引き起こす短周期地震動は短波長すべりによって生成されることを明らかにした(図)。強震動及び津波の正確な発生場の知見を得られることによって巨大地震のシナリオ構築の精度向上につながる。図年エクアドル・コロンビア地震の震度分布(上左)広帯域波長すべりモデルによる震度の推定分布(上中)及び長波長すべりによる震度の推定分布(上右)。沈み込み帯で発生する津波域及び強震動生成域(下)o過去の巨大地震のさまざまなデータを用いて、多様な災害を再現出来る震源モデルの研究開発に取り組む.o沈み込み帯で発生する多様な地震現象の発生域についての研究を行い、断層の不均質な破壊特性についての研究を推進する。参考文献年地震の震度分布広帯域波長すべりによる震度分布の予測短波長すべり(数キロ)長波長すべり(数十キロ)沈み込み帯で発生する自然現象短周期地震動発生域津波発生域長周期地震動発生域長波長すべりによる震度分布の予測o強震動及び津波の発生場について得られた知見などを用いて巨大地震のシナリオ構築の研究に取り込む.o強震動発生域と津波発生域の事前把握につながる研究開発を目指す。

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