防災科学技術研究所 令和元年度成果発表会 概要集
78/144

南海トラフ広域地震防災研究プロジェクト防災・災害情報発信研究防災情報研究部門 協働基盤研究室   水井 良暢2020.2.13 令和元年度 成果発表会■南海トラフ巨大地震に備えるための研究成果を利活用■理・工・社会科学の研究成果を集約発信するサイト構築■防災計画作成や災害対応にて情報利活用実証実験を実施し研究成果の社会実装を目指す南海トラフ広域地震防災研究プロジェクトは、将来発生する南海トラフ巨大地震へ備える研究を、理学・工学・社会科学の連携で実施し、地震・津波のあらゆる被害予測とその対策、発災後の現実的な復旧・復興対策を検討するとともに、地域研究会を通じて行政等と連携、成果の社会実装を目指した文科省のプロジェクトである。その研究成果を集約し発信するサイト「南海トラフ広域地震災害情報プラットフォーム」を構築し、平常時の防災計画作成での利活用と、災害対応での効果検証を年の大阪府北部の地震と台風号被害にて実施した。主な内容は、福祉的な対応を行う組織(社会福祉協議会)にて、平常時に地震・津波に関する最新研究成果を踏まえた地域要配慮者への対応計画を考え、災害時に活動調整と府内での支援体制強化を実現し、これまでよりも円滑な業務が行われたことを確認したことである。図南海トラフに関する研究成果利活用と平常時の計画作成および災害時の実践(実施地域︓大阪府対象︓社会福祉協議会+基礎自治体)検証と計画の改善そして、平常時に戻る被害想定の、データベース観測データ(、強震モニタ)津波到達シミュレーション動画ほかプロジェクト成果報告書集約情報データベース防災に使えるコンテンツを集めたページ大阪府にて社会福祉協議会と行政で利用計画最新の研究成果1.対応計画を考え、訓練を実施大阪府内での社会福祉協議会による、組織連携、人的支援、情報の流れの計画立案。必要書類フォーマット統一広域甚大災害を想定した支援体制計画と、社協+行政での対応訓練を実施南海トラフ被害想定情報を各種活動にて参照する地域ブロックごとの連携計画南海トラフに関連する情報が支援計画立案と訓練に役立てられた年の大阪府北部の地震と、台風号風水高潮社会福祉協議会と行政で災害対応実践推定震度分布情報を活用した大阪府7市で被災者生活支援活動の優先順位判断を実施(高槻茨木枚方箕面豊中吹田摂津)2.実際の広域災害で効果検証巨大地震に関する想定情報の利活用大阪府の社協による、実際の大阪府北部の地震と台風号被害での人的支援と情報の流れ事前研修で実施した情報利用の知見が広域支援活動と現地判断に役立てられた南海トラフ広域地震災害情報プラットフォーム活動管理データべーズ構築要配慮者の見守りと災害時の対応を検討今後組織体制︓実践結果の検証と、事前計画の改善情報システム︓最新情報導入、プラットフォーム構造改善情報利活用管理・連携体制情報利活用管理・連携体制書類平常時発災時情報システムに関しては、利用対象者が必要とする情報内容の取捨選択と、ツール上での見やすくわかりやすい表現方法を検討する必要がある。また、行政向けについては南海トラフに関する「臨時情報」等の新しい公的情報も社会に発信され始めたため、各地域で準備・計画されている対処方法の調査・把握が必要である。社会体制としては、今回、大阪府で得られた平常時と災害時の取り組みの成功事例と失敗事例の知見を、行政や防災関連組織の通常業務や地域住民の訓練等の活動計画に取り入れてもらうためのルール作りを実現していくことが必要である。将来発生することが懸念されている南海トラフ巨大地震による被害を見据えて、最新の理学・工学・社会科学の研究成果が効果的に社会で利活用されていく環境を準備構築しておく活動が重要である。

元のページ  ../index.html#78

このブックを見る