〒305-0006 茨城県つくば市天王台3-1 Tel 029-851-1611 Fax 029-851-1622地震災害ゼロ区域を目指す3次元免震装置地震減災実験研究部門 兵庫耐震工学研究センター 山田 学2020.2.13 令和元年度 成果発表会2019.○○.○○○○○○○○○○○○○■地震による災害ゼロ区域(フロート・シティ)の実現を目指す■震度7の地震を震度4以下にしてインフラを守る3次元免震■流体浮揚方式よる長周期地震動対策+実用的な鉛直免震地震はなくなりませんが、災害はなくす事ができます。東日本大震災以来、熊本、北海道胆振、大阪北部と、巨大地震が相次いで発生し、今まさに東南海トラフや内陸部の直下型地震への備えを万全にすることが求められています。日本の耐震建物は地震を受けても一時的には倒壊しない設計ですが、その内部機能を維持するには地震の揺れを低減する免震化が必要です。もし、社会インフラを含んだ街区免震が実現すれば、震災時の避難区や復興拠点とにできるだけでなく、社会的な経済活動を継続できるようになります(図1)。さらに土地・建物の資産価値を上げ、長期的には国土の強靭化、持続社会の実現にも貢献することでしょう。しかしながら、現状の免震技術は、縦揺れは低減できず、主流方式の積層ゴムは、地震動の性質によっては長周期成分による共振で横揺れを拡大する可能性があります。さらに社会インフラ(ガスの供給やエレベータ等)の継続条件である震度4以下を達成できるとは限りません。これらの課題解決を目標に3次元免震装置の開発に着手しました。横揺れについては空気または水を吹いて浮揚させる方式で、従来方式よりも振動低減性能が高い特長を持ちます。さらに、この方式は中心部に引き戻す力が働かない(=周期を持たない)ため、地震の揺れは増幅しません。また、浮揚高さを約0.05mmと小さくすることで、起動が⤴図1.街区免震の構想さらなる大容量化のため、今後2年程度で保有するテストベッド(60ton)と、4階建て鉄筋コンクリート建物試験体(800ton)に適用できる免震装置を開発し、加振実験を行う予定です。また街区免震の社会実装を目指して、有識者による研究会を発足し、研究を推進いたします。速く流体の使用量が少ないシステムを目指しています。縦揺れは特殊なリンク機構とばねを組み合わせたもので、重量物を支持しながら剛性を低く(柔らかく支える)する方式です。2018年7月に積載荷重10tonの試作機を開発し、加振実験をE-ディフェンス(防災科学技術研究所が所有する世界最大の震動台)で加振実験を行いました(図2)。阪神淡路、東日本等、震度6強の入力に対し免震装置上で震度4以下と、従来方式では到達できなかった目標値を達成する良好な結果を得ています。図2.3次元免震装置のE-ディフェンスにおける加振実験の状況流体浮揚パッド4台(空気または水用)鉛直免震機構震動台高平坦度エポキシ基礎3次元免震装置病院施設データセンター防災センター免震装置居住区避難所(旧)密集した住宅街
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