MOWLASで記録された地震波形の再現地震津波火山ネットワークセンター 三好 崇之2020.2.13 令和元年度 成果発表会■陸海統合地震津波火山観測網(MOWLAS)では、日本列島から全球まで様々な地震の観測波形が得られる。■数値シミュレーションを駆使して観測波形の再現を実施中。■地震災害予測と地球の謎を解明する基礎情報となる。陸海統合地震津波火山観測網(MOWLAS)では、日本列島下で発生した地震をはじめ、ローカルからグローバルでさまざまな地震が連続的に観測され、地震観測波形は地球内部の情報を含んでいるため、日本、アジアの地下構造、全球の内部構造の解明に役立っている。地震の観測波形を再現することは、災害予測のための基礎情報として有益であり、地球深部の謎の解明へも貢献する。将来予測のためには、まず過去を再現することが重要で、数値シミュレーションは重要な手段である。本研究では、大型コンピュータによる数値シミュレーションを駆使して、広帯域地震観測網(F-net)で得られた地震波形の再現性を確認した。複数の地震観測波形と理論地震波形を用いて地下構造モデルを波形インバージョンによって改良し、地震波形の再現性を高めた。関東地方を対象にした例では、約150個の地震波形を用いて、20km以浅の地震波速度構造について16回にわたってモデルを更新し、周期5秒までの地震波を再現するモデルの構築をめざした(図の上段、中段)。全球を対象にした例では、全球の理論波形計算を実施し、核—マントル境界の反射波を用いて、深さ2,900km付近のモデルの更新に成功しつつある。周期10秒までの地震波形を再現するモデルの構築をめざしている(図の下段)。図関東地域と地球深部を対象とした地震波形の再現研究の事例。MOWLASによる地震観測データは、日々蓄積されているが、そのすべてが再現できているわけではない。MOWLASによる地震観測データの再現性を確認し、波形インバージョン等を用いて、ローカルからグローバルまで様々な地下構造モデルを構築し、災害予測のための基礎情報、地球深部の謎の解明に貢献する。黒︓観測波形青︓初期モデルによる理論波形赤︓最終モデルによる理論波形(左)m00︓初期S波構造モデル(中)m16︓最終S波構造モデル(右)モデルの修正量地球深部に着目したS波構造の修正量の例。(右上へ続く)遅い方向に修正速い方向に修正遅く修正速く修正海岸線は深さ2,900kmに投影
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