国家レジリエンス研究推進センター

活動報告

  • 2020.03.04防災科学技術研究所令和元年度成果発表会「知る、備える、行動する」~最近の広域大規模風水害に学ぶ~で講演

    2020年2月13日(木)に東京国際フォーラムで防災科研令和元年度成果発表会が開催され、国家レジリエンス研究推進センターからは岩波越センター長とテーマ2の田口仁コーディネーターの2名が講演を行いました。

    岩波センター長は、「オリンピック・パラリンピックにも貢献!30分先までの大雨をピンポイントで予測」と題して、ゲリラ豪雨という用語やその特徴について説明したあと、2つの新しい技術であるマルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダ(MP-PAWR)とVILナウキャストと呼ばれる予測手法によって実現した最新のゲリラ豪雨予測について紹介しました。今年のオリンピック・パラリンピックでの情報提供に向け、専用ウェブサイトの改良とスマートフォンアプリの開発が進められています。
    今回の成果発表会には特別ゲストコメンテーターとして池上彰氏をお迎えしており、講演後同氏から「オリンピック・パラリンピック開催中の台風上陸を懸念していたが、短時間予測情報を参加者皆にスマホで伝えられたら、この研究はとても威力を発揮し素晴らしいと思う。」という感想をいただいた一方で、ナウキャストなどは一般人にわかりやすい言葉に変えてはどうかというアドバイスもありました。また、ゲリラという言葉を理解できない若い世代が増えていることを上げ、用語は時代背景によって伝わらなくなることもあると発言されました。

    田口コーディネーターは「衛星データから被災状況を早く知る」と題して、昨年の台風第19号の際に使用した人工衛星データが大規模降雨災害にいかに有効であるか紹介しました。いち早く被害の全容を定量的に把握することで、自治体への支援の優先度が明らかになり、建物データや地形データなど様々なデータを重ねることで浸水エリア・浸水深、更には災害廃棄物量まで推定できる可能性が広がるが、システムの自動化が今後の課題であると発表しました。
    この発表に対し池上氏から、「戸々の浸水がわかるのは凄いことで、システムの自動化ができれば偉大な威力を発揮できる。市民からの通報がないと被害把握できず、ましてや大きな被害ほど通報すらできない現在、このシステムの早期実現化を望む。色々な衛星がいつどんな軌道で飛び、どの衛星で撮れるかを常に把握するのは大事である。」とコメントされました。防災科研の林春男理事長は、8月下旬の九州北部豪雨の際に工場からの油漏れを衛星がとらえていた実例を上げ、システムの使い方を工夫すれば非常に多くのポテンシャルがあると付け加えました。

    会場には146枚の研究成果ポスターが展示され、SIP第2期に関わる研究者のポスター発表も、大勢の聴講者に囲まれていました。また当日参加された皆様から多数の投票を得て、テーマ2の田口仁コーディネーター、テーマ5の清水慎吾研究統括、テーマ1の臼田裕一郎研究統括のポスター発表が投票結果トップ10に入りました。

    講演の様子

    • 講演する岩波センター長

    • 講演する田口コーディネーター

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