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第1部 最新の研究成果紹介

13:20-14:30

 

講演1「地震災害に備えるための建物センシングとアラートシステム」

南海トラフ巨大地震や首都直下地震等の、きわめて大きな被害をもたらすと危惧される地震の発生が懸念される中、普段の生活と社会経済活動を守る為に、建物の地震被害を予測して適切な地震対策を施すことは不可欠です。地震によって建物に生じる揺れを評価するには、建物の動的特性(揺れの周期や収まり易さ)を知ることが必要ですが、実際の建物の動的特性を長期的な変化も含めてとらえるための手法は確立されていません。この講演では、建物の動的特性を地震時の揺れから評価するためのアルゴリズム、建物の揺れを捉えるための外装材と一体化したセンサシステム、および建物の揺れや動的特性から推定した被災状況を発光表示するシステムの開発と、防災科研が兵庫県三木市に保有する実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)を用いて行う、実大オフィスビルを対象とした実証実験について紹介します。さらに、建物試験体内部の空間を有効活用して、多数の外部機関と協力・協働する取り組みについても紹介します。


カーテンウォールにセンサと光アラート装置を具備した建物の外観イメージ


藤原 淳 地震減災実験研究部門 主幹研究員

【経歴】
博士(工学) 
専門分野: 建築構造,耐震工学
2003年3月 京都大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程修了
2003年4月~2017年5月 太陽工業株式会社
2011年6月~2015年5月 ドイツの建築構造設計事務所に出向
2017年6月より現職

建築物や避難所建物の耐震性,地震損傷に関する研究,および建築,土木構造物の損傷,破壊過程を再現可能な数値解析に関する研究に従事。

藤原淳

 

講演2「災害初期対応でのドローン活用の広がり」

ドローンは、空中から光や熱を観測するセンサーによって地表面の状態を把握することができる。人工衛星などのリモートセンシング技術と大きく異なる点は、その分解能が数cmに達するほど「目がよい」こと、そして航空機と比べると劇的に安価で、小規模な部隊でも運用可能なことが挙げられる。さらに、ドローンの普及と時を同じくして、災害現場にいながらオルソ画像と呼ばれる地図を作成する技術も普及しつつある。ドローンの特徴は、災害発生直後にアクセスが困難な現場の状況を俯瞰し、次の対策や行動に必要な情報を得られることである。しかし、災害対応業務を行う機関に、ドローンの光学・近赤外・熱赤外カメラなどのセンサーデータの解釈や安全な利用法が十分に普及しているとはいえない。こうした現場のための技術は、実践されてこそ有用なものとなる。今後、GEORISがドローンの災害対応への活用の裾野を広げることを期待している。

内山庄一郎 マルチハザードリスク評価研究部門 特別研究員

【経歴】
博士(環境学)
専門分野:地理学、地球人間圏科学
2003年より現職

ドローン等による災害状況把握技術の開発と社会実装に従事。地すべり地形分布図の作成 (2014年完了)、災害事例データべース(2012年~)、防災科研クライシスレスポンス(NlED-CRS、2012年~)の初期設計と構築を行った。著書「必携ドローン活用ガイド -安全かつ効果的な活用を目指して-」、連載「読むだけで上手くなる!目指せ!ドローンの匠!!」など。

内山庄一郎

 

講演3「2022年トンガ火山噴火によって生じた「津波」の正体~観測とシミュレーションの組み合わせから探る~」

2022年1月15日に、南太平洋トンガ諸島のフンガ・トンガ―フンガ・ハアパイ火山で大規模な噴火が発生しました。この噴火に伴って生じた津波が近隣の島々に被害をもたらすとともに、日本をはじめとする世界の各地で明瞭な津波が観測されました。この津波の特徴として、その第1波の到来した時間が一般的な津波において想定される到来時間よりも顕著に早かった、という点が挙げられます。日本の太平洋側には防災科研の二つの海底観測網S-net・DONETが展開しており、それらの海底圧力計によってこの津波は海底での圧力変化という形で観測されています。本講演では、この特異な津波の性質を観測記録から調べた結果を報告するとともに、同時に日本国内で観測された気圧変化との関係を紹介します。さらに、この火山噴火による津波を数値シミュレーションで再現した結果と組み合わせることでわかってきた、この「津波」の正体に関しての報告も行います。


講演3「2022年トンガ火山噴火によって生じた「津波」の正体~観測とシミュレーションの組み合わせから探る~」

トンガ噴火後に日本に到来した津波を海底での圧力変化の形で見た様子

久保久彦 地震津波火山ネットワークセンター 主任研究員

【経歴】
博士(理学)
専門分野:強震動地震学
2015年京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻(地球物理学分野)博士後期課程修了。
2015年4月に防災科学技術研究所入所
2019年7月より現職。

現在は、地震津波火山ネットワークセンターにおいて研究開発および観測網運用業務に従事。地震津波防災研究部門および南海トラフ海底地震津波観測網整備推進本部を兼務。

久保久彦

 

講演4 「着雪災害軽減に向けた取組について」

0℃以上の気温で降雪する場合に、乾いた雪の結晶ではなく水分を含む雪になる場合がある。このような湿った雪は電力・鉄道設備や道路構造物などに付着し大きく成長し、その荷重により構造物の損壊や落雪による物的・人的被害を引き起こす。この構造物に雪が付着する着雪現象は、寒冷地だけではなく、雪氷対策が十分ではない非積雪地域や高層構造物においても、冬期の低気圧の接近に起因する降雪により発生する場合があるため、予測情報による除雪体制の支援、着雪対策技術の開発は急務である。本発表では湿雪に起因する着雪災害について、気象要因、災害軽減に向けた予測手法の開発、ステークホルダとの取り組み、雪氷防災実験棟で実施されている共同研究による様々な対策研究などについて紹介する。


講演4

面的着雪予測情報

佐藤研吾 雪氷防災研究部門 主任研究員

【経歴】
博士(工学)
(一財)電力中央研究所を経て、2011年4月に防災科研入所。
2018年4月から1年間、文部科学省で科学技術・学術行政の実務に従事。
2019年4月から現職。
雪氷防災研究部門主任研究員。

佐藤研吾

開催概要

主催
国立研究開発法人  防災科学技術研究所
日時
2023年2月21日(火)  11:30~17:30(オンライン配信開始12:30 開演13:00)
会場
東京国際フォーラム ホールB7   会場アクセス
参加費
無料
参加申し込みはこちら ※抽選応募締切:2023年2月7日(火)
定員
人数上限 600名 ※会場参加希望者が多数の場合は抽選となります。
当選者の方には2月13日頃までに通知いたします。
問合先
企画部広報・ブランディング推進課
TEL:029-863-7787
MAIL:toiawase[AT]bosai.go.jp
※[AT]を@に変換してください。
プログラム
11:30: 開場
11:30-12:55: ポスターセッション
12:30: オンライン配信開始
13:00: 開演
13:20-14:30: 第1部 最新の研究成果紹介
14:30-14:55: 第2部 研究紹介動画賞 表彰
14:55-15:10: 休憩
15:10-16:35: 第3部 パネルディスカッション 「情報でつなぎ、災害対応を変える。」
17:00: 閉演
17:00-17:30: ポスターセッション
17:30: 閉場

告知チラシはこちら(PDF)
イベント開催時のチェックリスト(PDF)