実験に使用できる降雪粒子
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降雪装置Aで作成される粒子(降雪A)
樹枝状結晶の霜が凝集した粒子です。ふわふわと降る雪片に対応するものです。
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降雪装置Bで作成される粒子(降雪B)
微小水滴が凍結した氷球が凝集した粒子です。濃密雲粒付き雪片~霰状雪に近いものです。
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降雪Aの5分間ごとの粒径-落下速度分布(水色の点)とその代表的な値(正六角形)。落下速度は1m s-1程度のものが多く、代表的な粒径は約6mmです。天然の降雪同様に、小さい粒子が多く大きいほど指数関数的に減少します。 降雪Bの5分間ごとの粒径-落下速度分布。粒径は降雪Aよりやや小さく代表的な値は約5mmです。落下速度は粒径によって変化し、代表的な値は2m s-1程度です。粒子数は大きいほど指数関数的に減少し、その数は降雪Aの数倍あります。
図の実線は文献による典型的な降水粒子の関係式で、上から、雨、紡錘状霰、濃密雲粒付き樹枝状結晶雪片、雲粒無し樹枝状結晶雪片、を表します。使われている式はNakai et al.(2022)を参照してください。測定はThies(ドイツ)製のLPMを使用しており、約0.3mm以下は計測限界で過少、約8.7mm以上は粒径が丸められた値が得られます。小粒径側に測定原理上出力される異常値は除去しています(中井ほか, 2020)。代表的な粒径、落下速度は粒子1個がもたらす降水強度で重み付けした平均値(CMF; Ishizaka et al., 2013)です。このデータは長岡技術科学大学・防災科学技術研究所の雪氷防災実験棟共同研究『電磁波反射型小型降水量・降水種・粒子群速度測定器の開発と検証』によって得られました。
参考文献
- Ishizaka., M., H. Motoyoshi, S. Nakai, T. Shiina, T. Kumakura and K.-I. Muramoto, 2013: A new method for identifying the main type of solid hydrometeors contributing to snowfall from measured size-fall speed relationship. J. Meteor. Soc. Japan, 91, 747-762.
- 中井専人・山下克也・本吉弘岐・熊倉俊郎・村上茂樹・勝島隆史, 2020: 球体を用いた室内試験と全粒子ロギングによる1ビーム光学式ディスドロメーターの特性評価., 天気, 67, 89-108.
- Nakai, S., K. Yamashita, H. Motoyoshi, T. Kumakura, S. Murakami and T. Katsushima, 2022: Relationships between radar reflectivity factor and liquid-equivalent snowfall rate derived by direct comparison of X-band radar and disdrometer observations in Niigata Prefecture, Japan., J. Meteor. Soc. Japan, 100, 45-56, doi://10.2151/jmsj.2022-002.