創立60周年記念式典

創立60周年記念式典を開催
—2023年11月16日 東京都千代田区のイイノホールにて—

創立60周年記念式典を開催
2023年11月16日

 東京都千代田区のイイノホールにて

防災科研は創立60周年記念式典を11月16日、東京都千代田区のイイノホールで開催しました。府省庁や自治体、共同研究・連携協力機関の方々、防災科研OBと現役職員など、419人が出席しました。関係機関の皆様への感謝状贈呈、60年を振り返る動画の上映などを通じ、60年の感謝を表しました。各分野のパートナーの皆様からは「応援メッセージ」として、防災科研への期待を披露していただきました。最後に、防災科研の各研究部門から研究者が参加する座談会を実施し、防災科研の進む未来について話しました。

挨拶を述べる防災科研の寶馨理事長

【応援メッセージをいただいた皆様とメッセージの内容(要約)】(文中の敬称略)

応援メッセージをいただいた皆様

  • 気象庁長官 大林正典様

    気象庁にとって防災科研は戦略上、欠かせないパートナーです。線状降水帯の発生予測では、防災科研と共同研究で開発したアルゴリズムを使わせていただいています。2023年2月から緊急地震速報に長周期地震動を取り入れ、その即時的な予測手法で防災科研の開発したアルゴリズムを取り入れさせていただいています。防災科研の先進性と専門性、気象庁の24時間のオペレーションという双方の強みを生かして、これからも防災減災に貢献し、国民の安全安心を共に支えていきたいと思っています。

  • 台湾行政法人国家災害防救科技センターNCDR President 陳宏宇(チェンホンゲイ)様

    NCDRと防災科研は2009年からパートナーシップを築いています。これは相互学習と共有に関する、国境を超えた努力の素晴らしい例といえます。防災科研の優れた実践は、災害リスク軽減のため実現可能な解決策の開発に取り組んでいるNCDRのメンバーを鼓舞しています。NCDRと防災科研で開催するワークショップでは、防災科研からの新しいアイデアを期待しています。今後も緊密な協力と友好関係を維持し、新たな挑戦に共に立ち向かいましょう。

  • 新潟県防災局長 原直人様(花角英世・新潟県知事の代読)

    2004年の中越地震、その3年後の中越沖地震では、住家の被害認定調査や罹災証明書発行業務を支援いただき、その知見が「チームにいがた」に引き継がれています。2022年8月の水害ではISUT(災害時情報集約支援チーム)による浸水推定図を県の災害対策本部でも活用させていただきました。雪の季節には長岡市の雪氷防災研究センターに支援いただき、屋根雪おろしの目安となる「雪おろシグナル」も全国に先駆けて新潟県で運用していただきました。地方自治体にとって、防災行政は住民の関心が高く、その対応の是非が問われる場面も多々あります。最先端の幅広い研究成果を災害現場で活用させていただけることは本当に心強いことです。

  • NHK報道局災害・気象センターセンター長 保科泰彦様

    防災科研とは5年ほど前から情報交換などをさせていただき、推定震度や被害推定のデータを取材の安全管理などに利用させていただいています。今後は「大雨の稀さ」の情報を放送などで活用できないか、共同で検討させていただいています。NHKは2025年で放送開始100年になるのに向けて、新たな時代の災害報道とは何か、検討を始めています。また、「命と暮らしを守る」ことを経営計画の重点項目にしており、防災科研と目指すところは同じです。同じ目標の実現のために、手を取り合って進んでいきましょう。

  • 東北大学災害科学国際研究所津波工学研究分野教授 グリーン未来創造機構副機構長 今村文彦様

    共同研究者、そしてJHoP(防災減災研究連携ハブ)のメンバーとしてお祝い申し上げます。東日本大震災での課題を受けて、S-net(日本海溝海底地震津波観測網)等の構築において、東北大学からも情報や数値計算などで支援させていただきました。現在はレジリエンスというテーマで防災科研とさらなる連携をしています。東日本大震災から12年経ち、千島海溝や日本海溝で新たなリスクも生じています。科学的知見を得ることはもちろん、社会貢献、国際貢献、人材育成も非常に重要です。例えば、社会貢献においては、事前投資が防災・減災に具体的にどう効果があるか、といったことがあります。レジリエントな社会への貢献をともに目指していきたいと思います。

  • 国立環境研究所理事長 木本昌秀様

    同じつくばにある研究所として、親しみを持っています。SIP4Dのシステムについて知見をお尋ねしたのをきっかけにコミュニケーションが始まり、2023年7月に包括連携協定を結ばせていただきました。情報発信に関わる連携はもちろん、自然や生態系を防災に利用する「エコDRR」や熱中症など、双方の強みを生かせる分野で協力したいと思います。地球環境に関する問題は広がっており、単独研究だけでは進まないことも多いので、連携させていただき、国民の皆さんに少しでも役立つ研究がしたいと思います。

  • 日本防災士会理事長 室﨑益輝様(動画によるメッセージ)

    災害の時代においては、防災にかかわる科学技術の開発を図ること、そして防災の担い手が連携することが欠かせません。科学的な知見の種を運ぶ「風の人」、土の中から芽を出す「土の人」、あたたかな陽ざしを投げかけて芽を育む「太陽の人」、芽に水を与えて育てる「水の人」が必要だと思っています。風の人は防災科研、土の人は地域コミュニティ、太陽の人は行政、そして水の人は防災士会です。防災士会は現場の情報やニーズを防災科研に届け、正しい政策立案に繋げる役割を果たさなければならないと思います。

  • Esri創業者社長 Jack Dangermond様(動画によるメッセージ)

    この何年かで、災害対応と復旧活動の計画においてGIS(地理空間情報)とマッピングの利用が進みました。我々がソフトウェアやデータの提供をサポートすることで、ささやかながら、ご協力することができました。防災科研は人の命を守り、最も困難なときに人を救うという大変重要な役割を果たしています。防災科研とのパートナーシップに深く感謝します。