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Published by E-Defense, NIED,January 24 , 2019,Vol.14 No.4
クラウドファンディングを活用した3L防災技術の開発
―簡易補強工法の確立の普及にむけて―
  今回、防災科研で初めてのクラウドファンディングを実施し、無事、成立させることが出来ました。まず、広報課と研究推進課の皆様には、立ち上げから取材対応、お礼状の送付等、大変お世話になりました。また、所内にも寄付をしていただいた方がいらっしゃいますので、この場をお借りしてお礼を申し上げます。平成31年2月の公開実験に向け、引き続き一体となって進めてさせていただければと思っております。

 次に、一連の流れを簡単に振り返ってみたいと思います。今更ながら、クラウドファンディング(CROWD FUNDING)とは何か?CROWD=群衆・不特定多数、FUNDING=資金調達・財政的支援を組み合わせた造語で、ある目的等を達成するために不特定多数の人から資金を集める行為のことです。実際に実施したネットサービスを使った仕組みについては図-1に示す通りです。研究の一環として、クラウドファンディング活用が馴染むのかは想像もつきませんでしたが、実施に向けた情報取集と内容を意識したのは平成29年10月頃でした。その後、悩みつつ、実施の意思決定をしたのが平成30年の4月で、ネパールにおける一連の蛇籠研究の中で実施することを決めました。プロジェクトの具体化は6月に行い、短い時間での段取りを経て、9月1日から開始に至っております。この短い段取りの期間にクラウドファンディング会社さんから与えられた宿題、「プロジェクトを組み立てる際のポイント」を以下に整理しました。

  クラウドファンディングの仕組み  

【図-1 クラウドファンディングの仕組み】

  1. ストーリー作成
    「ネパールにおける石積の伝統的な家の地震被害を防ぎたい!」というお題で国際貢献を意識した内容とし、平成30年9月1日~10月31日を募集期間に設定しました。
  2. ターゲットの明確化
    この取り組みの賛同者として、関連学協会、つくば市内の企業・法人、あるいはクラウドファンディングを行っている方々の内、国際貢献を意識されている支援者像を描きました。
  3. 広報プラン
    必要な金額設定(100万円)とそれを集めるための広報戦略です。公開後5日間におけるスタートダッシュは肝心で、そのため、実施できる広報活動(事前営業)とは何かを考えました。
  4. プロジェクト発信
    発信方法については、つくば市内の法人や各種イベントでのチラシの配布、メディアへの出演や取材対応を行いました。また、新着情報の継続更新は非常に重要な要素でした。          
 すべり出しは順調ではありませんでしたが、募集期間を16日残し目標金額を達成できました。
 
 さて、肝心の研究内容ですが、地域の職人あるいは住民自身によって建設された技術者が関与していないノンエンジニアド組積造住宅の地震被害を防ぐため、住民自らが実施可能な技術を確立することが目的です。図-2に示す組積造を対象とした蛇籠を用いたジャケッティング工法(金網で建物を巻いて耐震補強する技術)の効果確認のため、振動台実験を行います。Vol.14 No.2に紹介している通り、もともとは、蛇籠擁壁の耐震化に向けた取り組みを行っていました。蛇籠自体は単純構造で材料入手と施工が簡単なものですが、一方、蛇籠に特化した研究は今まで無く、経験に頼ったものでした。「Low-Techを科学し、Low-Costを追求し、そしてLocalで活かす」3L技術として、開発途上国において、科学的根拠のある技術の普及展開を目指す一環として、今回の企画に至っています。
 研究成果の普及には、何らかの大きな力が必要なのではないかと思います。クラウドファンディングは簡単ではありませんでしたが、その“力”に値する手法であると感じております。終了した今、ようやくスタート地点に立たせていただきました。2月の公開実験に向け、着々と準備を進めて参ります。

  予定している実験の概要(平成31年2月実施予定)

【図-2 予定している実験の概要(平成31年2月実施予定)】


                (文責:主幹研究員 中澤 博志)

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平成30年VR出展アンケート集計結果
 平成27年からE-ディフェンスを活用した研究開発成果を発信するため、様々なイベントに出展し、E-ディフェンス実験映像放映や、地震時の室内被害を仮想現実(VR)体験等の啓発を重ねて、今年で4年目となりました。お越しいただいた方等の口コミで、少しずつ出展先が増え、平成30年は既に8箇所、1月現在で、872名もの方々にVR体験をしていただき、アンケートに答えていただきました。
 展示ブースでは、E-ディフェンスの施設紹介から始まり、これまでに実施したE-ディフェンス実験の研究成果を中心に、実験映像を交えて説明した後、実際に実験から取得した地震時の室内の被害映像等をVRで体験いただきます。視覚的な地震の恐怖感、普段見ることのできない試験体内部や実験棟内の大きさ、試験体の高さに全身でのけぞるように驚かれる方、家具固定等対策の重要性を実感される方等、視覚・聴覚で体感することで、自分自身の生活環境に置き換えて、より現実味を帯びて感じられるようです。

 アンケート結果には、ほとんどの方が、帰ったらすぐに家具を固定したいと思います。再度、家の中を点検して、家族で防災について話し合いたい等、地震に備えるための前向きな回答を多くいただいております。地震という災害が起こったとき、一人ひとりが、自分の周りにどのような危険が及ぶのかを考え、その被害をできるだけ少なくするために必要な対策を講じることの重要性を感じていただけたら出展者として大変嬉しいことです。
 皆さまからいただいたご意見やご提案を、今後のVRシステムの開発や改良に反映して、たくさんの方々に体験いただきたいと思います。
 また、大変お忙しい中、出展にご協力いただきました、研究員の皆さまには、大変感謝しております。引き続き、ご支援、ご協力をお願い申し上げます。

 平成30年にVR出展したのは、文科省エントランス展示、くらしとすまいの安全・安心未来展2018、ぎゅっと防災博、つくば一般公開、第5回震災対策技術展、危機管理産業展、吹田市減災フェア、西宮市総合防災訓練でアンケート回収数は872枚です。集計結果をご紹介致します。

◎アンケート集計結果はこちら【PDFファイル189KB】


(文責:研究推進室 ) 

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