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Published by E-Defense,NIED,April 30,2015,Vol.11 No.1
Japan/U.S. Planning Meeting for Collaborative Research on Earthquake Engineering at E-Defenseを開催
  日米両国の研究者・技術者らによる地震工学に関する研究の意見交換・議論を目的とした国際会議『Japan/U.S. Planning Meeting for Collaborative Research on Earthquake Engineering』を、E-ディフェンスにて9月15・16日に開催しました。この会議では、日本側23名,米国側24名の参加者が、研究開発環境や成果の最新情報を交換し、新たな研究課題や共同研究の可能性について活発な議論を行いました。また、若手研究者・技術者の交流を図ることも、この会議の目的の一つです。
  この会議は、これまでに10回開催した『NEES/E-Defense Planning Meeting』の流れを引き継ぐものです。NEESとは、米国のNational Science Foundation (NSF)が設立した震動実験施設・設備を有する15大学が構成するネットワーク『George E. Brown, Jr. Network for Earthquake Engineering Simulation』です。防災科研では、文部科学省とNSFとの防災科学技術に関する研究協力に係る覚書 に基づき、研究開発の国際的な展開の一環として、NEESとの研究協力を2005年より推進しています。
  会議初日の午前中の基調講演では、初めに、田中大和文部科学省地震・防災研究課防災科学技術推進室室長補佐より日本の防災科学技術に関する研究開発の現状等、岡田義光理事長(会議開催当時) より防災科研が取り組む研究開発、梶原浩一減災実験研究領域長よりE-ディフェンスを活用した研究開発についての発表がありました。引き続き、NSFのDr. Joy Pauschke (Program Director, Division of Civil, Mechanical and Manufacturing Innovation)より、2015年から始まるNEESの後継となるプログラム『Natural Hazards Engineering Research Infrastructure (NHERI)』など、NSFが取り組む自然災害に関する研究開発についての説明がありました。
  基調講演の後、鉄筋コンクリート構造,鉄骨構造,免震・制振,モニタリング,地盤 の5課題についてのパネルディスカッションと個別セッションにおいて、各参加者が発表を行い、活発な議論を通して、重要性の高い課題や可能性のある共同研究課題について取りまとめました。最後のセッションでは、「Grand vision for future U.S./Japan Collaboration」をテーマに、中島正愛京都大学防災研究所教授とStephen Mahinカリフォルニア大学バークレー校教授によるリードで議論を行い、研究開発の最重要課題、今後共同で取り組む可能性のある課題、さらに日米共同の中長期ビジョンについて取りまとめました。
会議の開催にあたり、中島正愛教授,Stephen Mahin教授には様々なご指導・ご助言を賜りました。ここに心より謝意を表します。また、会議の進行と取りまとめをいただいた、倉田真宏京都大学防災研究所准教授,五十子幸樹東北大学災害科学国際研究所教授,岡崎太一郎北海道大学大学院准教授,楠浩一東京大学地震研究所准教授,田村修次東京工業大学大学院准教授,Professor Richard Christenson (University of Connecticut),Professor Ahmed Elgamal (University of California, San Diego),Professor Gilberto Mosqueda (University of California, San Diego),Professor Santiago Pujol (Purdue University),Professor Jennifer Rice (University of Florida)、会議の運営に大きくお尽力ご尽力をいただいた長江拓也名古屋大学大学院准教授、NHERIのCyber Infrastructureをご説明いただいたProfessor Ellen Rathje (University of Texas at Austin)、議事進行・記録のご担当者を始め、ご参加いただいた全ての方々 に深く感謝いたします。


     
 


               (文責:主任研究員 田端 憲太郎)

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2015年度日本建築学会大会
  平成27年9月4日から6日の3日間、東海大学湘南キャンパスにおいて、2015年度日本建築学会大会[関東]が開催されました。私が担当しています「数値震動台(E-Simulator)の構築を目指した構造物崩壊シミュレーション技術に関する研究」(以下、数値震動台プロジェクト)では、現在、免震構造の地震応答解析技術や室内の家具や非構造部材の地震時挙動解析技術の開発を進めていることから、関連研究として積層ゴムの研究や天井などの非構造関連のシミュレーション研究の発表を聴講し、今後の研究推進に有益となる情報を得ることができました。
  私の講演発表は9月5日に「鋼構造骨組の実大震動台実験の多点計測データを用いたE-Simulatorによる解析結果の詳細分析」というタイトルで行いました。これまでに、2007年にE-ディフェンスで実施されました「実大4層鉄骨建物の完全崩壊実験」については、 60%加振、100%加振のケースについて再現解析を実施し、建物の全体的な挙動について高い精度での再現に成功しています。本講演では、実験と解析の局所的な挙動の対応関係を把握し、解析モデルの改良のために有益となる情報を取得することを目的に、実験で得られた多点計測データを活用した解析結果の詳細分析をしました内容について発表致しました。聴講者からは、梁断面の歪分布で実験結果と解析結果に差異がみられた理由について質問がありまして、用いている材料構成則の塑性化後の挙動が一因にあるのではとの旨を回答しました。
  数値震動台プロジェクトでは、開発しているシミュレーション技術の社会への利活用を推進するとともに、今回の講演内容のように、華々しくはありませんが地震時の損傷・破壊過程の予測シミュレーション構築に不可欠であるシミュレーションの高精度化に向けた研究も着実に進めていきたいと考えております。



                           (文責:研究員 山下 拓三)

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学校施設の老朽化に伴う施設整備等に係る講習会を終えて
  東京都より講演依頼を受け、昨年に引き続き今年も、8月17日に講演をしてきました。今年は「学校施設の老朽化に伴う施設整備等に係る講習会」というタイトルの講習会で、今年も現場で実際に対応されている方も含めて、とても多くの方が参加され、熱心に聴講されていました。
タイトルの通り、メインとなる講演は文部科学省の担当の方による学校施設の老朽化対策に関するお話しでしたが、今年度中に天井の対策を完了させることが求められており、今年も天井の脱落対策に関する話をお願いされました。
  天井に関しては今年度中に対策を終えることとなっていますが、講習会後にご協力をお願いしたアンケートのご回答によると、対象となっている体育館などの屋内運動場等施設以外に設置された、例えば廊下や普通教室の天井についても、対策が必要なのではないかと不安があるといった声や、撤去する方向で進めているものの、撤去後の音響、内装制限に対する対策についてどうしたらよいかわからないと言った意見も有り、まだ注目されているようです。また、什器・設備機器に関しては、対策が必要なことは理解しているものの、基準がないため、どのような対策をどこまでしたら良いのかわからず戸惑っているとのことで、さらなる研究が求められていると感じました。
老朽化した施設の耐震性がどの程度あるのか不明で心配と、メインの話であった老朽化対策と絡めた意見もあり、既存施設の老朽化の評価が重要であるようです。
  今年の講習会においても、たくさんの重要な現場の意見を拾い集めることができ、東京都のご担当者様や講習会に参加された皆様のご協力に感謝いたします。今回の講習会で集めた意見も参考にさらなる研究開発を進め、いち早く現場に還元できるよう頑張っていきたいと思います。



                (文責:研究員 佐々木 智大)

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