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Published by E-Defense, NIED October27,2022 Vol.18 No.3
くばちびっ子博士2022への出展 
~ 未来の耐震王の発掘へ ~
 8月30日、E-ディフェンスの広報活動部隊は、本所がある茨城県つくば市で開催されます『つくばちびっ子博士2022』へ参加いたしました。『つくばちびっ子博士』は、将来を担う子どもたちが、市内の研究機関等において、最先端技術、自然科学、歴史や文化に触れることにより、科学技術をはじめとした様々な分野において関心を高め、夢と希望に満ちた未来を考える手が
写真1 会場の様子
満員御礼で説明にも熱が入りました。 
 写真2 作った模型を揺らしている様子
自分の模型が壊れないかドキドキしている子もいれば『絶対大丈夫‼!』と自信満々の子も
    写真3 工作中の様子
どのテーブルも、もくもくと作業に取り組んでおります! 
写真4 出来上がったお家模型
我々の想像の遥か先をいったデザイン!令和のコルビュジェはつくばにいました。 
かりになることを目的としたイベントとなっています。(つくば市HP参照)

 防災科研といたしましても、日々の研究活動など大いに近隣の方々へアピールする機会でありますので、E-ディフェンスからも総力を挙げて参戦しました。
 E-ディフェンスは『地震』に対して、建物・人命を守ることが責務でありますので、今回の出展では【ストローハウス】をメインに1時間の工作・実験を開催しました。(写真1)ストローハウス工作では、ストローとクリップを使ってお家模型を作り、さらには、お家を強くするための方法を考えました。その後、工作したお家模型を小型の振動台に載せて、地震などの揺れを発生させ、自分たちが作ったお家模型が地震に負けないように出来たのかを体験してもらいました。(写真2)

 当日は2部に分けて開催し、それぞれ30人程度の、総勢約60人のちびっこ博士候補生が参加してくれました。はじめに、ストローとクリップの取り付け方だけを当方(福井)が前で説明し、その後は6人ずつ5つのテーブルにわかれて、『地震に強いお家模型を作ってください。』と言ってスタートしました。各テーブルには、それぞれ強力な助っ人(佐藤主任研究員、山田主幹研究員、青木特別研究員、阿部研究員、木下広報隊長)を送り込んではいるものの、ちょっと説明が難しく、分からない子や退屈する子が出てきてしまうのでは、、、と内心は不安に思っていましたが、開始早々これらの心配は一掃されました。

 どのちびっこ博士も目をギラギラとさせて、もくもくとストローハウスの製作に取り組んでいるではないですか!お父さん・お母さんも一緒になって作るところもあれば、兄弟で仲良く一緒に1つのお家を作っていたり、1テーブル6人が協力して1つのお家を作るところもありました。今回の工作・実験の計画段階で「こんな雰囲気になればいいなー」と思っていた通り、いや、それ以上に活気のある現場に、マスクの下ではニヤけが止まりませんでした。(写真3)
 出来上がったチームから、ストローハウスを振動台に載せてもらい、揺らしていったのですが、そこでもさらに子供たちの能力に驚かされることになりました。各テーブルには、一般的な三角屋根のお家の作り方の説明書を置いていたのですが、子供たちが完成させたお家模型は、2階建てに増築していたり、見たこともないおしゃれな形のお家など、ユーモア溢れる作品につくづく、発想力の豊かさを痛感致しました。(写真4)
 デザインだけでも凄かったのですが、どのお家も振動台で揺らしてもビクともせず、構造的にも立派な作品に感動すら覚えました!
 実は今回のストローハウスは『斜材(ブレース・筋交い)』といった斜めに掛ける部材を配置することで、地震に強く、どっしりと自立した建物が出来るといったことが重要なポイントでありました。
ですが、あえてそれを最初の説明で言わずに、自分たちで試行錯誤していく内に気づいてもらえたらな。といった気持ちがありました。
そういった我々の願いに100点満点で答えてもらい、さらには、最後に私が解説しようとした内容(あるいはそれ以上??)まで気づいて、嬉しそうに話してくれるちびっこ博士もいました。
 『つくばちびっ子博士』は毎年行われているイベントですが、E-ディフェンスから参加したのは今年が初めてでした。参加して頂いた方々に少しでも印象に残る夏休みのイベントとなっていることを願います。そして、これをきっかけに、子供たちが建築・耐震・地震などに興味をもってもらえれば幸いです。

①汗だくでテーブルを駆け回ってくれた佐藤主研
『子供たちの無邪気な発想と積極性に脱帽しつつ、汗かきまくりでした。(ナダレンジャー&ナダレンコ、ありがとう!)』えいじ
②孫が出来たらこんな感じかな。。と山田主幹
『ちびっこ博士達の発想の豊か さに感服し一時引退を考えましたが、これに負けず研究開発の高みを目指す決意を新たにしました。』まなぶ
③完全にパパの顔になってしまう青木研究員
『実験の楽しさを体感してもらえて、よかったです!守りたい、この笑顔。』たかし
④還暦過ぎても前のめりで対応の阿部研究員
『子は鎹(かすがい)。自由な発想と、それぞれの個性が同時にアピールされ、元気をもらいました。』ひろし
⑤実はこの日が誕生日の木下広報隊長
『ちびっ子博士たちのキラキラした眼差しと笑顔が最高の誕生日プレゼントとなりました』
えつこ
 
  最後になりましたが、初参加となり、勝手が分からない中、広報・ブランディング推進課の皆様には多大な支援を頂きました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

文責:地震減災実験研究部門
    特別研究員 福井 弘久

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令和4年度 兵庫県・播磨広域合同防災訓練への出展 

 令和4年9月4日(日)兵庫県多可町立中央公園グラウンドを拠点に、兵庫県・播磨広域合同防災訓練が行われました。山崎断層帯で地震が発生し、甚大な被害が出たとの想定で実施され、弊所も出展いたしました。
 毎年、防災の日に合わせて兵庫県が主催で実施しており、防災支援課と合同で出展しております。
今年はコロナ禍でも通常どおりの開催を予定しておりましたが、直前に感染者が増加し、メイン会場において一般の参加(訓練・見学)の中止が決まり、残念ながら関係者のみでの開催となりました。
 E-ディフェンスのブースへは、斎藤知事も立ち寄られ、携帯VRを使った室内被害を視覚的に体験いただきました。また、ホームぶるる(2軸振動台)を使って流体浮揚式免震装置のデモを行いました。
 テント内には、E-ディフェンスの施設の紹介や、今年1月に実施した「地震時、室内被害から人を守る」の実験の紹介、今年度実施予定の「地震時ダメージ評価手法の開発」の実験紹介ポスターを掲示し、大型モニターには実験動画を放映して、訪れた方々に興味を持っていただきました。
残暑の厳しい中ご対応いただきました佐藤主任研究員、福井研究員、西研究員、大変ありがとうございました。
 また、関係各位の引き続きの温かいご指導・ご支援をお願い申し上げます

【展示ブースの様子】
文責:研究推進室

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高精度シミュレーションモデル構築に向けた配管系加振試験を実施

 脱炭素社会の実現やエネルギー不足への対応の一つとして次世代原子力システムの開発が挙げられますが、日本は地震国であり、新技術を社会実装する際には高度な耐震信頼性が求められます。既存の構造物では実地震による被害の経験や多数の実験・解析を通じて設計に必要な知見が蓄積されていますが、新しく開発される構造物に対してはそのような知見が不足するため、最新の計算科学を取り入れた設計が期待されます。
 現在の原子力発電施設の耐震設計では弾性解析に基づく耐震設計(弾性設計)がされています。弾性解析では保守的な評価が可能という利点がある一方、現実世界の応答で現れる、摩擦や弾塑性変形などのさまざまな非弾性挙動を正確に再現するという点では十分ではありません。近年では設計の想定を超えた条件(Beyond Design Basis Event、いわゆるBDBE)に対する配慮が求められるようになっており、従来の設計で考えていた弾性域を大きく超えた弾塑性域の挙動評価が必要であることを踏まえると、特にこれから開発が期待される次世代原子力システムの耐震設計・評価手法構築にあたっては、解析により終局挙動も含めた非弾性挙動を適切に評価できることが重要となります。
  そのような背景に基づき、防災科学技術研究所では令和2年度より3ヶ年計画で文部科学省原子力システム研究開発事業「地震荷重を受ける配管系の非弾性を考慮した高精度シミュレーションモデルの構築」(研究代表者:中村いずみ(防災科研)、研究分担者:澁谷忠弘(横浜国大))を実施しています。本研究では、発電施設の重要な設備の一つである配管系を対象として、地震時の非弾性挙動を再現できるよう解析モデルの精緻化に取り組むこと、また、解析モデルの評価検証に必要となるデータをE-ディフェンス実験で取得することを目的としています。この配管系加振試験を令和4年8月~9月にE-ディフェンスで実施しました(写真1)。この試験では解析モデルの高度化につながるよう、配管系が損傷するまでの試験データを取得することを目的としました。
 
写真1 加振試験に使用した配管系試験体
 試験体は、6 m×3 m×4 m程度の規模の炭素鋼鋼管STPT370、100Asch40(外径:114.3 mm、肉厚:6.0 mm)で製作された配管系試験体1体です。具体的に実機配管のルートを模したものではなく、やや複雑なルートで、分岐管や曲管、支持構造物を含むという配管系の特徴を反映し、加振試験用に設計した試験体です。試験体の一部には注水し、6.8 MPaの内圧を負荷しました。
 加振試験では、試験体の応答が大きく出やすいような特性を持つ模擬地震波を用いた地震波加振(三軸同時加振)と、試験体の損傷を目的とした、一方向の正弦波加振を実施しました。地震波加振では小さい加振レベルから徐々に入力を大きくし、試験体の弾性域~弾塑性域までの応答特性、ひずみの蓄積過程などのデータを取得しました。また、正弦波加振の実施中、試験体の分岐管部分でき裂が貫通し(写真2)、終局挙動までの加振試験データを取得するという当初目的を無事に達成しました。
  今後は得られたデータの分析を進め、配管系試験体の損傷挙動の評価を行うとともに、解析モデルに対する損傷モデルの導入、実験結果を活用した不確かさ評価などを実施していく予定です。
写真2 試験体が損傷したときの様子

 
文責:地震減災実験研究部門
主幹研究員 中村いずみ

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SATREPSペルー第2回合同調整委員会(Joint Coordination Committee)に参加しました 

 ペルーSATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム)は、「国家災害リスク管理システム」での災害情報共有の迅速化・効率化を目的に、統合型エキスパートシステムの開発を行い、地震・津波による犠牲者の大幅な低減としなやかな生活再建の達成といった、災害対応力強化を目指しています。地震減災実験研究部門の梶原・岸田は、ペルーSATREPS研究題目4「災害対応力向上」グループのメンバーであり、防災関係者への研修の実施を目的に、統合型エキスパートシステムの概要を紹介する関係資料の整備や、一般市民へのセミナーの実施を目的に、建物の耐震に関する人々のリテラシーを向上させるための技術資料、モニタリング技術を紹介する関係資料の整備を進めています。
  私たちは、8月6日から12日にかけて、ペルーの首都リマへ渡航し、Joint Coordination Committee(JCC:合同調整委員会)に参加しました。以下、簡単に行程をご報告します。
写真1 丘の上から見下ろしたリマ市街地

  8月8日:まずJICAペルーオフィスを訪問し、リマの治安状況や安全対策について説明を受けた後、研究対象地域(Chorrillos, Barranco, Villa El Salvador, San Juan de Miraflores, Villa Maria del Triunfo)を視察しました。写真1は丘の上からリマ市街地を見下ろした風景ですが、このように様々な構造レベルの建物が混在しています。写真2、3のようにリマの建物は、枠組み組積造(レンガ壁の周囲を小さな断面の鉄筋コンクリート部材で囲った構造)が主流です。

写真2 枠組み組積造の建物 写真3 枠組み組積造建物群 

写真4 補強されていない枠組み組積造建物

 これらは、現地の職人が慣習的な技術により作っており、構造計算などは特になされておらず、写真4のように、鉄筋コンクリート部材は非常に華奢で、多くのレンガ壁は鉄筋で補強されていません。グループGA2では、補強されていない枠組み組積造建物の安全限界予測法を開発し、低コストの構造ヘルスモニタリングセンサーを設置することにより、地震後のペルーの建物に残っている耐震性能を評価することを目指します。夕刻にはINDECIを訪問し、グループミーティングでペルー側のG4メンバーと初めて対面で話し合うことが出来ました(写真5)。この日は、論文投稿やJCCおよび国際ワークショップでの発表に関する打合せを行いました。
写真5 INDECIでのグループミーティング 写真6 CENEPREDを訪問

 8月9日:午前中に少し研究対象地域を視察した後、CENEPREDを訪問し(写真6)、前日に引き続きグループミーティングを行いました。この日は、統合型エキスパートシステムを如何にペルーの既存システムに組み込むかという議論がなされました。
 8月10日:朝いちばんに病院で新型コロナウイルスのPCR検査を受けた後、CISMIDにてJCC(写真7、8)およびリマ・コンベンションセンターにて国際ワークショップ(写真9)に参加しました。PCR検査結果が全員陰性でしたので、その後すぐ無事に帰国できました。
写真7 JCCの会場
太平洋地域では地震の発生頻度が高く、日本とペルーは、地震災害の観点において共通の課題を有しています。住民の適切な緊急避難と避難所生活のために、住民の立場に立った情報の統合が必要であり、その中で建物の被害状況把握が重要です。2023年2月にE-ディフェンスで実施予定の「10層鉄骨造オフィス試験体による建物の動的特性評価実験」では、モニタリングによる建物被災度の自動把握を目指して、防災科学技術研究所と東京大学地震研究所がそれぞれ提案するモニタリングシステムを実証する予定です。


写真8 JCCでの集合写真

写真9 国際ワークショップでの集合写真

【写真説明】:写真5、6、8、9: “Contraparte japonesa del proyecto SATREPS visita el Perú”. CISMID. 2022-08-15
http://www.cismid.uni.edu.pe/contraparte-japonesa-del-proyecto-satreps-visita-el-peru/(参照年月日2022-10-18)

文責:地震減災実験研究部門
主幹研究員 岸田 明子


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