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センター長挨拶・兵庫耐震研究センター開設のお知らせ
世界最大の実大三次元震動破壊実験施設(ニックネーム:E−ディフェンス)を管理運営し、この施設を用いた研究開発を遂行するために、独立行政法人防災科学技術研究所は、2004年10月1日付けで兵庫県三木市に、兵庫耐震研究センターを開設しました。

1995年の阪神・淡路大震災で露見した建物や各種都市基盤施設に関わる被害から、次の教訓が再確認されました。
1)われわれが住む町には、耐震性に劣る古い建物・基盤施設が溢れている。こ れらの耐震  性能を正しく評価したうえで適切に補強し、きたる大地震に備えな ければならない。
2)現在の耐震設計で想定するより大きな揺れが起こる可能性がある。過大な揺 れに建物・  基盤施設がどの程度耐えられるかを明らかにするとともに、より耐 震性が高い構造や工  法を開発し、それを実践に移していかなければならない。

上記の教訓を達成するために、過去幾年にもわたって数多くの研究開発が実施されていますが、建物・基盤施設の損傷や崩壊を予測する技術がどれほどの精度を持っているのか、開発された耐震補強方法がどの程度適切であるのか、より高い機能性や安全性を指向した新しい構造や工法がどれほどの効果を発揮するのか等については、常に実験による検証が不可欠です。実大規模の建物・基盤施設に地震の揺れを直接与えることができるE−ディフェンスは、広範な研究開発に対する「究極の検証手段」を提供するもので、これら研究開発成果の防災実践への速やかな移行を飛躍的に促進する役割を担います。

E-ディフェンスは、現在、震動台の制御や計測機能を確認するための予備試験を進めていますが、一連の確認実験を終えて、2005年1月15日には「披露式」、同16日には「披露国際シンポジウム」の開催を予定しています。その後さらに標準的な試験体を搭載して負荷試験を実施し、その性能を最終的に確認するとともに震動台の制御・計測に習熟した後、2005年秋からは、木造家屋、鉄筋コンクリート建物、地盤の液状化に対する実大実験を実施する予定です。これら実大実験につきましては、2002年から過去3年間にわたって、震動台建設と平行して準備を進めてきました。

「究極の検証」をめざすE−ディフェンスは、世界各国からも注目され、海外との共同研究等への期待も高まっています。わが国のみならず世界の防災にも貢献するという立場から、その端緒として、地震学や耐震工学において日本とともに世界をリードする米国との共同研究を推進すべく、E−ディフェンスでは、米国科学財団(National Science Foundation)の支援を受け現在全米で展開する耐震工学プロジェクト(通称:NEES)との包括的研究協力協定を結ぶ交渉に入っています。さらにこの交渉と連携してE−ディフェンスを用いた日米共同研究の準備も始めました。

阪神・淡路大震災直後にその計画が始まったE−ディフェンスも、10年を経て供用開始直前にまでこぎ着けることができました。その実現に向けて直接ご努力いただいた方々のご支援とご協力に心から感謝いたします。ご承知のようにE−ディフェンスの建設には巨額が投資されました。その投資を支えていただいた社会と国民に、地震防災の飛躍的発展への貢献をもって報いることが、E−ディフェンスに課せられた使命と受け止め、われわれセンター職員は最大限努力することをここに誓うものです。ただこの使命をまっとうするためには、地震防災に関わる各方面からの絶大なご協力が欠かせません。研究コミュニティ、国や地方自治体、防災技術実践の立役者である産業界を始めとする関連各方面からの継続的なご指導とご支援を、ここに改めてお願い申し上げる次第です。

2004年10月1日
兵庫耐震工学研究センター
中島 正愛
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