活動報告

2022.9.5

京都府立盲学校で防災科学教室を実施

防災科研とベルマーク教育助成財団が共催する「防災科学教室」を7月12日(火)に京都府立盲学校の小学部と中学部で実施しました。 Dr.ナダレンジャーの科学実験と、災害過程研究部門の松川杏寧特別研究員による「災害を知って、災害にそなえよう!-安心防災帳を使ったそなえの自覚-」の2本立てで、視覚障害の生徒にも伝わりやすいように、聴覚や触覚で理解してもらえる工夫を凝らしました。

概要

名称 防災科学教室
日時 2022年7月12日(火)
場所 京都府立盲学校
対象 京都府立盲学校の小学部・中学部
主催 公益財団法人ベルマーク教育助成財団
防災科研
協力 防災科研(松川、Dr.ナダレンジャー)

京都府立盲学校は京都市の北部、一休和尚ゆかりの大徳寺の近くに位置しています。幼稚部・小学部・中学部・高等部があり、全盲や弱視の子どもたちが学んでいます。学校周辺は水害や土砂災害の心配は低く、子どもたちは大きな災害について経験もなければ、見聞きした経験も多くはありません。しかし、一部の生徒が寄宿舎を利用している以外はバスや電車などで通学しており、通学時をとってみても災害への理解と備えは非常に大切です。東日本大震災の被災地、宮城県石巻市の出身でもある小学部の阿部紗樹先生から応募があり、このたびの防災科学教室が実現しました。

定番メニューを盲学校向けにアレンジしたDr.ナダレンジャーの科学実験に続いて、中学生を対象に松川特別研究員が講義を行いました。
講義では、プレゼンテーション資料を生徒のタブレット端末に送り、弱視の生徒はタブレットで拡大して確認していました。また、国立障害者リハビリテーションセンター研究所が作成した教材「自分でつくる 安心防災帳」を使いながら、個人の持つ「脆弱性」をどのように小さくするかを考えました。
避難所になっている体育館に避難するとしたら、どこを自分の場所にしたい?という松川特別研究員の質問に「真ん中?」という意見が挙がりましたが、視覚障害のある人は壁伝いに移動できる壁際のほうがよいかもしれません。松川特別研究員は「避難所は地域の人のアイデアで運営されるので、みなさんもぜひ運営に参加していってほしい」と話しました。
続いて、阪神・淡路大震災の発災時の映像から、音で答えるクイズも出題しました。建物の上から俯瞰で撮った映像と、火災現場で撮った映像を流し、音を聞いて違いを考えてもらいます。俯瞰の映像では消防車の音が聞こえますが、火災現場の映像では聞こえません。消防車がすべての火災現場に出動できない場合があることを生徒に理解してもらいました。
最後に、巻き尺を使って、浸水深と行動の関係を体感しました。30㎝の浸水深では車が走れなくなり、救急車両も到着できません。50cm以上だと床上浸水します。30㎝や50㎝がどのくらいか、音声や触覚でわかる視覚障害者用の巻き尺で測り、自分の脚に当ててみました。

ベルマーク教育助成財団と共催する「防災科学教室」は、2018年8月に防災科研と同財団で締結した協定に基づき、全国の小中高校や特別支援学校などで実施するものです。18年度12校、19年度16校、20年度3校、21年度4校で開催しました。22年度は京都府立盲学校で2校目です。
防災科研では、2019年8月に協定を結んだガールスカウト日本連盟とも年に数回、防災科学教室などを実施しています。
ベルマーク教育助成財団、ガールスカウト日本連盟との協定では、双方が有する人的・物的資源を有効活用することで、防災リテラシー向上に貢献することを目指しています。

生徒さんの感想(抜粋)

先生方の感想(抜粋)

当日の様子

松川杏寧特別研究員の講義の様子
巻き尺を使って浸水深と行動の関係を体感する様子

災害過程研究部門

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