活動報告

2022.8.19

「地域安全学 夏の学校2022」で永松伸吾部門長が登壇しました

2022年8月19日に、「地域安全学 夏の学校2022―基礎から学ぶ防災・減災―」が、安全・安心若手研究会主催で開催されました。
この会は、2016年より毎夏に開催されており、2016年には仙台、2017年東京、2018年神戸、2019年東京、2021年オンライン開催(2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により中止)とこれまで6回開催され、大学生・大学院生、若手の実務者・研究者を主な対象として、一流の研究者が講義を行うセミナーを中心に、若手研究者間の交流を促進することに重点を置いて開催されています。
今年度はコロナ禍の状況に配慮し、オンライン参加と、神奈川大学横浜キャンパスでの対面参加を併用した、初のハイブリッド開催となりました。

概要

名称 「地域安全学 夏の学校2022―基礎から学ぶ防災・減災―」
日時 2022年8月19日(金)
場所 神奈川大学横浜キャンパス
オンライン
対象 大学生・大学院生、若手の実務者・研究者
主催 安全・安心若手研究会
協力 防災科研(永松、松川)

当日の様子

午前中の部では、人と防災未来センター開設20周年の節目となることから、同センターの研究員第一期生にご登壇いただくという主旨で、名城大学教授の柄谷友香先生と、災害過程研究部門長かつ関西大学教授の永松伸吾部門長がご講演されました。

柄谷先生からは『「被災するということ」への理解と共感―被災地に学び、防災に生かすためのフィールドワークと共同研究のススメ―』として、防災研究に携わるきっかけから被災地での研究事例まで、これまでの研究活動を振り返った幅広いお話とともに、他の研究者と共同研究をすることの楽しさ等についてご講演いただきました。特に地域安全学会で論文賞に輝いた、陸前高田の生活再建の様子について、ZENRIN地図を用いて網羅的に調査した大規模な調査研究のお話は、柄谷先生のお人柄や当時の涙ぐましい努力がよくわかる内容になっていました。

続いて、永松部門長が『巨大災害からの経済復興過程と復興支援方策に関する研究』として、経済学的な視点からの防災研究や、被災地の現地調査から着想した「お弁当プロジェクト」という地元の方々の経済?に直接つながるための研究など、研究成果が直接社会に役立った経験について講演しました。経済学分野の大学院生が防災業界に足を踏み入れた理由や、被災地での気づきを研究成果から具体的な支援施策にまで昇華し実施していく流れからは、改めて研究の重要性、特に社会実装や社会還元の重要性がうかがえました。

名城大学 柄谷友香先生
関西大学/災害過程研究部門 永松部門長

午後からは、発表・交流セッションが開催されました。安全・安心若手研究会の世話役の皆さんが司会となり、オンラインと現地参加の両方を交えた7つのグループに分かれ、事前に提出いただいた資料を使って自己紹介や、研究発表、ディスカッションなどを実施しました。研究発表ではグループ内から良い発表だった人を一人選抜し、再度全参加者の前で発表していただき、参加者全員の決選投票で最優秀発表者を決めるイベントも行われました。結果、東北大学大学院の渡邉勇さんによる発表「災害伝承施設を利用した行動変容に効果的な震災学習」が最優秀発表に選出されました。

事後アンケートからは、「期待通りの内容だった」「周りの友人にも勧めたい」「今後の研究に活かしたい」といったコメントがありました。また、「防災科研でみる永松部門長と違う側面が見られた」といったコメントもあり、若手研究者に向けての熱のこもったフリーでの講義は、普段の職場ではなかなか見ることのできない貴重なものだったことがうかがえました。

今回の企画・運営は、安全・安心若手研究会の世話役である松川杏寧(防災科研)、倉田和己(名古屋大学)、畠山久(東京工業大学)、河本尋子(常葉大学)、杉安和也(岩手県立大学)、郷右近英臣(北陸先端科学技術大学院大学)、寅屋敷哲也(人と防災未来センター)、佐藤翔輔(東北大学)の尽力によって開催されました(敬称略)。また、この企画は地域安全学会から助成を受けて実施されました。

「地域安全学 夏の学校2022」の集合写真

災害過程研究部門

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