2024.8.21
災害過程研究部門の研究がInternational Journal of Disaster Risk Reductionに掲載されました。
都市や地域の災害に対するレジリエンスを定量的に評価するために、これまで数多くの評価指標が提案されてきました。こうした指標によってレジリエンスが高いと評価された都市や地域は、そうでない都市や地域と比較して、災害時に被害が少ない、あるいは、回復状況がよい等、何らかのレジリエンス効果(resilience outcome)を発揮するはずです。しかしながら、既存の評価指標の妥当性を裏付ける実証的根拠が十分に得られているとは言えません。このような背景のもと、過去の災害事例で観測されたレジリエンス効果のデータを用いて、評価指標の妥当性を検証しようとする研究が近年徐々に増えてきています。
本論文では、災害に対するレジリエンスを都市や地域が有する機能の1)維持(maintaining capacity)、2)回復(recovering capacity)、3)変革(transformative capacity)の3つの能力に分類した上で、レジリエンス評価指標の検証に関する先行研究のシステマティック・レビューを世界で初めて行い、「どの指標が、どのような効果変数を介して、どのような能力について有効であることが実証されているか」を体系的に整理しました。さらに、変革能力の評価に有効な指標は未だ特定されていないこと、地域特性(例えば、都市部と農村部)に応じて有効な指標が異なる可能性があることをはじめ、今後の検証研究において追究すべき項目を提示しました。詳細については、本論文をご覧ください。
論文:
Shiozaki, Y., Nagamatsu, S., Sato, K., and Bhattacharya, Y. (2024) A systematic literature review of empirical validation of disaster resilience indicators, International Journal of Disaster Risk Reduction, Volume 111, 104681.
著者:塩崎 由人(研究員・責任著者)、永松 伸吾(部門長)、佐藤 慶一(客員研究員)、ヤスミン・バタチャリヤ(東京大学)
ジャーナル:International Journal of Disaster Risk Reduction, Volume 111