国家レジリエンス研究推進センター

成果・取組報告

  • 2019.08.03NR7奈良県橿原市で大型台風を想定した避難対応訓練を実施
    避難対応訓練の実施の様子

    図1 新開発の訓練システムでは、訓練進行、対応状況、共通状況図、各部班拠点のウェブカメラが統合され、訓練状況を包括的かつ詳細にモニタリング可能となった。

    テーマ7「市町村災害対応統合システムの開発」では、激甚化する風水害に対して、住民一人ひとりの安全で確実な避難を実現するために、避難勧告・指示等を市町村が発出する際の判断を支援するAIの研究開発を行なっています。
    避難勧告・指示の発出に際して、市町村は住民の安全を最大限に確保するために、様々な条件を考慮しなければなりません。夜間や、広範囲で大勢の人が避難の対象となる時、混乱の発生や、逆に危険な状態になることを避けなければなりません。地域の実情を考慮し、雨や川の状況を見極めながら、役所内の対応体制の構築・変更、避難所の開設、避難勧告・指示の発出、推移に応じた範囲の拡大、警戒レベルの段階的な引き上げなどを短時間で意思決定していく必要があります。これらを確実に行うためには、事前からの実効的な訓練が必要不可欠です。
    2019年8月3日、防災科学技術研究所は、避難勧告・指示の発令までの対応・判断過程に関するデータと知見を得ることを目的とし、奈良県橿原市で行われた総合図上訓練に協力し、意思決定・対応訓練を実施しました。
    訓練シナリオは、単に大災害を想定するのではなく、研究開発中の技術を用いて、蓋然性が高く、判断に困る局面が発生するようなシナリオを生成し、時々刻々と変わる状況を新開発の訓練進行システムから配信し、リアルな訓練進行を実現しました。
    さらに、実際の対応時と同じく、台風の接近に合わせて職員が参集し、各部班ごとに分散して対応拠点を設営、現場では実際に避難所まで移動して開設する動きを実施しました。本部では刻々と変わる雨や川の状況を見守り、先々を見据えた対応計画を作成、役所の体制のコントロールと避難勧告・指示の発出をシミュレートしました。これらは、開発中の訓練システムを用いて行われ、避難勧告・指示の発令に至る過程における各職員の行動等の細部に渡るデータが取得されました。
    今後、このような訓練を全国各地で行えるようにし、多くの訓練のデータをもとに避難勧告・指示の発令支援のためのAIの開発と高度化を進めていきます。 

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