国家レジリエンス研究推進センター

成果・取組報告

  • 2020.01.21NR2令和元年台風第19号災害に対するテーマ2の取組
    衛星Sentinel-1による災害前と後の合成画像

    図1 衛星Sentinel-1による災害前と後の合成画像。まとまった赤色は浸水発生エリア🄫 Copernicus Sentinel data 2019

    浸水建物数を市町村単位で集計した結果の表示例

    図2 推定浸水エリアから浸水建物数を抽出し、市町村単位で集計した結果の表示例(全建物数に対する浸水建物数の比率)

    衛星画像を災害対応へ活用している様子

    写真1 衛星画像を災害対応へ活用している様子

    衛星画像を災害対応へ活用している様子

    写真2 衛星画像を災害対応へ活用している様子

    テーマ2では、衛星等リモートセンシングデータを一元化し、災害対応時における活用に向けた研究開発を実施しています。台風第19号では、東日本および北日本を中心に広い範囲で記録的な大雨となり、各地で特別警報が発表され、阿武隈川や千曲川などの河川で堤防の決壊や越水により浸水が発生しました。
    テーマ2の研究開発チームでは、今後の研究開発への知見を得るために、今ある技術を駆使し、政府等への支援を実施しました。台風による影響が出る前から関係機関との調整を行い、被災地を観測したデータを災害時に共有する国際的な枠組みである「国際災害チャーター」が発動され、さまざまな衛星により観測が行われました。
    特に、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)のレーダ衛星であるSentinel-1は、各地で洪水が発生している状況下の10月13日(日)午前5:41に、関東から東北まで広範囲で観測しており(図1)、研究開発チームのメンバーである国際航業(株)は、災害前後の同じ衛星データを用いて、浸水域を推定しました。さらに、防災科研はこの推定浸水域のデータを活用し、民間地図会社の建物データを使って、浸水した建物を抽出し、それを市町村単位で集計しました。そして自治体ごとの浸水建物数や浸水した建物の割合を計算し、その結果を地図と表で可視化しました。これらは、防災科研クライシスレスポンスサイト(NIED-CRS)に公開(※)するとともに、災害時情報集約支援チーム(ISUT:Information Support Team)へ提供しました(図2 )。作成したデータは、他の機関による浸水データと比べて広範囲をカバーしていることから、国や自治体の一部で活用されました。
    そのほか、光学センサーによる衛星画像、小型衛星、航空機やドローンによる観測データや浸水データの収集と可視化を行い、NIED-CRSやISUTへ情報共有しました(写真1、2)。
    このように、衛星データによる「情報プロダクツ」が観測後すぐに入手できる仕組みができれば、被害の大きいエリアが把握でき、支援が必要なエリアはどこかを検討することができるようになり、災害対応に役立ちます。衛星データが災害時に迅速かつ確実に入手でき、今回の事例で示したような情報プロダクツを多数作成し、災害対応へ活用できるよう研究開発を推進していきたいと考えています。
    ※防災科研クライシスレスポンスサイト「【試行版】衛星データによる推定浸水エリアおよび浸水建物数集計結果 (令和元年台風19号 )」 

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