SW-Net(積雪・気象観測ネットワーク)について
雪崩などの雪氷災害は、中山間地から山岳地にかけて多く発生します。そのため、主に平地に展開されている気象庁のアメダスでは捕らえられない山地での降水量(降雪量)の評価が雪氷災害対策にとって重要となります。防災科研では、岩木山(青森)から大山(中国地方)までの積雪地域において、山地を重点的に積雪深や気温、積雪重量などを測定する積雪・気象観測ネットワーク(Snow and Weather observation Network SW-Net)を構築し、取得されたデータはほぼリアルタイムで公開しています。
積雪深だけでなく積雪重量も同時に測定することで、雪氷防災に役立つ様々な情報が得られます。例えば、任意の日付を2つ設定し、その間に降り積もった雪の荷重を観測値に基づいて算出することが出来ます。これは雪おろしのタイミングの決定などにおいて有用です。
また、2012年3月からは、過去2時間~過去36時間の積雪重量の変化を閲覧できるようにしました。これを利用すると、観測点の近くや同じような環境の積雪地域において、どれくらいの融雪水が積雪から流出しているかを推定することが出来ます。この情報は、融雪期において、融雪に伴う全層雪崩や地すべりなどの災害に対する注意喚起に役立つことが期待できます。
- 気象庁:「メッシュ平年値図」.
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/atlas.html (2023.02.27閲覧) - 気象庁:「メッシュ平年値2020解説」
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/atlas/docs2020/kaisetsu_honbun.pdf (2023.02.27閲覧)
- 防災科研:「最新冬期 降雪・積雪状況」
https://yukibousai.bosai.go.jp/yamayuki/index.html - Yamaguchi S et al. (2011) Recent fluctuations of meteorological and snow conditions in Japanese mountains. Annals of Glaciology, 52(58), 209-215.
doi:10.3189/172756411797252266 - 山口悟,阿部修,根本征樹 (2019) 防災科学技術研究所による山地積雪環境の長期変動モニタリング -積雪・気象監視ネットワーク(SW-Net)-. 雪氷研究大会講演要旨集, 126.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcsir/2019/0/2019_126/_pdf/-char/ja - 山口悟他 (2020) 防災科学技術研究所による山地積雪環境の長期変動モニタリング 2 —積雪・気象監視ネットワーク(SW-Net)—. 雪氷研究大会講演要旨集, 154.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcsir/2020/0/2020_146/_pdf/-char/ja - 積雪・気象観測ネットワーク(SW-Net)のデータを用いた積雪重量変化の公開を始めました (2012年3月15日 防災科研報道発表)