災害情報
新燃岳2018年4月5日噴火の降灰調査結果(速報)
新燃岳2018年4月5日の噴火による降下火山灰について、4月7日から8日にかけて北東山麓を中心に分布調査を行った。調査地域において降下火山灰は主に灰色の火山砂~細粒火山礫サイズの粒子からなるが、赤褐色の細粒火山灰粒子により全体的なみかけはやや赤みを帯びている(図1)。火山礫は大部分がほとんど発泡していない角ばった溶岩片(新鮮なマグマ物質)からなる (図1a)。今回の噴火では3月中旬以降の単発的な噴火と同様に、火道浅部に位置するガスに乏しいマグマが放出されたと考えられる。
調査時までに風雨の影響をうけている為本調査の堆積量測定値の誤差は大きいと考えられるが、概ね降灰軸は火口から東北東方向にあり、火口から約5~6 km離れた夷守台付近では 4000~1000g/m2程度、約10km離れた JR吉都線・宮崎自動車道付近では500g/m2程度、約20km離れた小林市野尻町付近では数10~100g/m2程度の降灰があったと推定される(図2上)。火山礫の最大粒径は矢岳北側~夷守台付近で20~10mm程度、火口から約10~12km離れた高原町市街や旭野付近で2~3mm程度の大きさがあった(図2下)。火山礫の山麓地域への降下は噴煙高度が比較的高かった(気象庁発表で火口上8000m)ことを反映していると考えられる。
以上の結果は今後の精査により修正されることがある。また、各機関が調査した結果と統合され、噴出量・噴火規模の推定等に利用される予定である。


謝辞 調査の際には気象庁・日本工営・熊本大学・地元住民の方々の提供された現地情報を参考にさせて頂いた。霧島ネイチャーガイドクラブの古園俊男氏には4月5日噴火直後の定面積試料を提供して頂いた。以上の方々にお礼申し上げる。
防災科学技術研究所 火山研究推進センター