令和2年7月豪雨 現地調査報告 -2020年7月21日〜26日調査速報-
令和2年7月豪雨 現地調査報告 -2020年7月21日〜26日調査速報-
- 報告者
-
水井良暢(防災情報研究部門)・三浦伸也(総合防災情報センター) 山崎文雄(災害過程研究部門)自然災害情報室
- 調査速報(詳細)
- 要旨
-
令和2年7月豪雨(気象庁名称)によって洪水被害が生じた熊本県人吉市および球磨郡球磨村渡(わたり)地区において、球磨川流域の洪水被害の継続した把握を実施した。また、球磨川下流に位置する八代市坂本地区や、福岡県や大分県に位置する筑後川と大分川流域など、より広範囲にわたる被害調査を行った。本調査では、2つの目的を設定した。1つは、既存調査実施時期からの復旧に関する変化を明らかにすること、もう1つは、より広域の被害状況を調査することである。なお、新型コロナウイルス感染症対策(以下、新型コロナ対策)を重視するため現地では調査チーム以外の人物とは極力対面しない方針で実施した。現地調査は復旧活動の障害とならないよう、車載カメラを常時作動し、フロントガラス越しから被害や活動の様相の撮影をすべての行程で実施した。支障が出ない地点のみ、デジタルカメラとドローンによる撮影を行った。くわえて、事前に人工衛星データを用いて橋梁等の被害を推定し、現地確認を行った。
この調査により、次のことが分かった。調査地域における洪水被害は、主な原因が大雨による河川氾濫もしくは内水氾濫であるが、地形の違いにより、水流による破壊被害と浸水のみの地域に分かれる。施設の破壊が多くみられる地域では、復旧・復興のための人員と時間が多く必要になると考えられる。新型コロナ対策のため県外からの大規模な人員支援が難しく、今後の現地作業はより困難になる可能性がある。橋脚被害は、人工衛星データから推定された被害箇所について、現地調査の結果、被害がある橋と被害のない橋があることを確認した。落橋により当面の間は交通の便が悪くなるため、生活面や観光産業などへの経済的ダメージが懸念される。
このほか、補足調査として2つの補足調査(「球磨川の水運の歴史」と「メディアによる発信状況」)を行った。なお、本報告は速報のため、今後の調査・解析により内容を修正することがある。
