研究開発課題「斜面災害の発生機構に関する研究」
に係る事後評価結果について

2001年05月08日

1.はじめに

2.対象課題の概要

3.評価の目的

4.評価方法

5.評価結果

評価の視点 評価結果
[研究開発の達成度]
研究開発の方向性
研究目標の達成度
研究課題の独創性
総括的な課題であったが、内容・目標とも発生場と移動動態に限定し、ハザードマップの高度化及びその公表を成果の方向として目指したもので、妥当といえる。突発的災害への対応、対象地の状況などから十二分ではないが達成されている。独創性は年代測定資料採取に閉塞域にできた湖沼の湖底堆積物を利用、崩壊物質の移動メカニズムの模型実験に創意工夫のあとが見られる。 
[原因の把握・分析]
サブテーマ設定の妥当性
アプローチの妥当性 
研究ポテンシャル
実施体制の妥当性
実験の類似性と異なる点の検討が不足している、サブテーマの幾つかが中途半端で、メリハリに欠けるなどの意見があるが、テーマ・アプローチに、問題が有るのではなく、問題は人員不足にあるという委員の一致した意見である。また、難しい白鷹火山を取り挙げたわりには良く検討されている。 
[研究計画の妥当性]
年次計画の妥当性
資金規模の妥当性
6年の年次計画は妥当である。資金規模(2.57億円)は研究スタッフの人員に対して妥当といえる。人員不足が大きいので、資金を外部の人材の導入に使用出来ないか、また、研究チームの核となって研究推進する体制を構築できないか、という意見がある。 
[波及効果の把握・分析]
成果の波及効果
成果の普及
既存の地すべり分布図のホームページが好評であることは、防災科研の研究に先見性の有ったことを裏付けている。今回の研究も効果の期待がある。全委員の意見はインターネットを活用し、傾斜分級図や白鷹火山の地形学図も積極的な公開普及を望んでいる。 
[その他] 阪神大地震を除けば、人的被害を伴う災害のほとんどは斜面災害で、行政的には地域あるいは流域の危機管理上避けられない重い課題である。しかしこの研究は行政機関ではできない基礎を伴う研究であり、行政に偏りのない防災科学技術研究所でなければできない研究テーマで、研究の意義は大きいという大方の委員の意見である。 

[総合評価]

  • A:優れている
  • B:普通である
  • C:劣っている
コメント 選定された課題は斜面災害研究の最重要課題の1つで、斜面の地学的性格、斜面破壊のメカニズム、引き金となる降雨・融雪特性、地下水の挙動、地震動特性、また、災害を受ける側の社会的側面など、それぞれ重要な課題を包括しており、一朝一夕に解明できる課題ではない。研究所において、将来長期にわたって取り組まなければならないテーマと言える。従って、あらかじめ長期的ヴィジョンと中期的ヴィジョンの大枠の設定が必要である。プロジェクトリーダーを欠いた今は聞くすべを持たないが、法人化した機会に改めて議論しておく必要がある。委員全員に共通した意見として、他省庁に関係する研究所と異なって、対処療法的研究でなく、基礎研究から応用まで取り組める研究所としてはあまりにも研究員の員数が少ないことを挙げている。また、研究成果の公表は、業績評価に直結する研究者への情報提供のみでなく、社会的評価も得るべく、義務教育のレベルの内容にかみくだいて一般社会や行政機関へ向け、インターネット等を活用して普及を図って欲しい。なお、これらの意見は法人化した防災科学技術研究所への委員の期待と声援の表れである。 

6.外部評価委員

氏名 所属
委員長 古谷尊彦 千葉大学大学院自然科学研究科教授
委員 岩松 暉 鹿児島大学理学部教授
委員 佐々恭二 京都大学防災研究所教授
委員 山岸宏光 新潟大学理学部自然環境科学科教授

7.外部評価委員会プログラム

10時30分~10時40分
10時40分~10時45分
10時45分~10時55分
10時55分~11時05分
11時05分~11時30分
11時30分~12時00分
11時30分~12時00分
12時00分~13時00分
13時00分~14時00分
13時00分~13時30分
13時30分~14時00分
14時00分~14時10分
14時10分~15時00分
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