2025年11月インドネシア豪雨
11月末熱帯低気圧センヤールの影響により、東南アジアでは記録的な豪雨に見舞われ、複数の地域で洪水や土砂崩れが発生しました。
油井亀美也宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)から東南アジアが厚い雲に覆われている様子を撮影されています。
2025年11月23日午後6:14投稿より
-
©JAXA/NASA
-
©JAXA/NASA
東南アジア上空付近
油井亀美也宇宙⾶⾏⼠のX 2025年11月23日午後6:14投稿より
2025年11月インドネシア豪雨による土砂流出範囲の推定 -スマトラ島北部周辺-
防災科学技術研究所では、早期復旧の支援につながる情報プロダクツの創出に向けて、山地災害発生後に現地調査では困難な広域的な概況把握を早期に行うことを目的に、衛星データを使用して斜面変動(土砂流出の発生)範囲を抽出する手法の開発に取り組んでいます。
今回、インドネシアスマトラ島北部地域周辺を対象に、豪雨前後の光学衛星データを用いて土砂流出推定範囲の抽出を試みました。その結果、約24,000km2(四国4県の約1.3倍の面積に相当)の広範囲において、斜面崩壊の可能性のある箇所が8,800以上、抽出されました。
図1:土砂流出範囲の推定結果 解析領域は図2および3を参照。除外範囲は斜面傾斜角5度未満の範囲と雲の範囲。 背景はESRIのWorld HillshadeとWorld Terrain Reference。地形データは地球地図全球版(空間分解能: 30m)を使用。
NDVI差分値を用いた土砂流出範囲の推定手法について
近年は斜面崩壊や土石流といった土砂移動現象による土砂災害が広域的に発生するケースが見られ、災害後の応急復旧のためにも土砂流出の発生場所とその範囲を把握することが必要です。
このような応急復旧に資する情報発信を目的とし、水・土砂防災研究部門では、土砂流出推定範囲を抽出する手法の開発に取り組んでいます。以下の光学衛星データを使用し、NDVI差分値に閾値を定めて二値化画像を作成し、斜面傾斜角により土砂流出の推定範囲を抽出しました。
ー使用した光学衛星データー Sentinel-2/MSI(空間分解能10m、L2A)
図2:豪雨前:2024年3月14日撮影
図3:豪雨後:2025年11月29日撮影
宇宙航空研究開発機構(以下JAXA) 地球観測データサイト_2025年11月下旬に東南アジアで発生した記録的な豪雨に関する衛星降水データによる解析結果
-
©JAXA
-
©JAXA
JAXAによる、衛星全球降水マップ(GSMaP)を通した東南アジアにおける降雨状況を解析結果
2025年11月下旬に東南アジアで発生した記録的な豪雨に関する衛星降水データによる解析結果
防災科研では気象・浸水・土砂災害等に関する研究をしています
関連情報
※当ページの画像の著作権は、著作権法によって権利が守られています。 画像をJAXAと国立研究開発法人防災科学技術研究所の許諾無く無断で使用・複製・改変・公開及び領布することを一切禁止します。
