地震素過程と地球内部構造の解明に関する総合的研究

評価の視点 評価結果
[研究目的と目標]
問題意識の明確さ
研究目標の妥当性
研究課題の独創性
問題意識と研究目標の妥当性はいずれも明確であり、研究課題の独創性は、かなり高い。問題意識については、サブテーマ1が特に明確で、サブテーマ3はかなり明確である。
サブテーマ2の目標を、より具体的に示した方が良いのと意見があった。フリージア観測網をつくること自体については、独創性がそれほど高いとは言えないが、新たな観測網の設置には種々の困難があり、それらを乗り越えてきた意義は高く評価できる。基礎研究と応用研究とを結び付けた、国の試験研究機関らしい課題である。
[社会的背景]
必要性及び緊急性
国研が実施する意義
社会的な必要性及び緊急性はかなり高く、国の試験研究機関として実施することの意義は高い。サブテーマ1,3の社会的な必要性及び緊急性は高い。一方、サブテーマ2の必要性及び緊急性と国の試験研究機関として実施することの意義とはいずれもやや高い程度である。この課題の研究成果を、実際の災害軽減に結び付ける部分の研究が不十分である。
[研究構成と内容]
サブテーマ設定の妥当性
アプローチの妥当性
研究内容の妥当性
研究ポテンシャル
サブテーマ1は、テーマ設定とアプローチとの妥当性がともに明確で、研究内容の妥当性はかなり明確、防災科研で行うにあたっての研究ポテンシャルは高い。
サブテーマ3は、テーマ設定の妥当性が明確で、アプローチと研究内容との妥当性はかなり明確、防災科研で行うにあたっての研究ポテンシャルは高い。
サブテーマ2は、テーマ設定、アプローチ、研究内容、それぞれの妥当性はかなり明確、防災科研で行うにあたっての研究ポテンシャルはかなり高い。
[研究計画と予算]
年次計画の妥当性
資金規模の妥当性
研究スケジュール設定の妥当性はかなり明確である。
サブテーマ3の計画については、まだ十分な予算が与えられていない現状なので、これを含めて評価すれば、資金規模は不足と考えられる。これを考慮外とした場合には適当と考えられる。
[研究実施体制]
実施体制の妥当性
実施する組織構成および人員配置に関しては多少不足である。
[研究成果の達成度]
全体目標の進捗度
サブテーマの成果達成度
成果の反映方法
期待される効果
関連分野への波及効果
研究全体の目標と進捗度は多少計画より進んでいる。
成果と達成度に関し、サブテーマ1はほぼ達成しているが、サブテーマ2,3は一部達成している。
サブテーマ3に関しては達成していると、達成していないとに意見がわかれるが、現段階での評価は早すぎると考えるべきであろう。
研究成果の活用・反映方法はかなり明確であり、期待される効果はかなり高い。基盤観測網の展開には、本課題による観測網設置の経験が生かされている。メカニズム解や波形データの利用頻度は高く、この課題の成果が広く活用されている。
ただし、利用者については十分把握されていないので、ワークショップの開催やデータ利用の際のアンケートなどによる把握を勧める。
[その他] 比較的震源に近い広帯域地震観測網で地震メカニズム解を決定し、インターネットで公開しているのは、防災科研のみである。観測網の波形データは地球の構造研究に重要であり、これもインターネットで公開しているのは意義深い。このように本課題は重要である。しかしメカニズムの決定やインターネットでのデータ公開が十分軌道にのった段階で、防災科研が継続して実施すべきであるかどうかについて、検討するべきであろう。
サブテーマ3で示されたインテリジェント型機動地震観測システムは、試験研究機関の開発課題として重要である。

[総合評価]

  • A:課題として今後も推進すべきである
  • B:一部修正して実行すべきである
  • C:再検討すべきである
コメント サブテーマ2に関しては、一部修正して実行すべきであるとの意見が若干あった。また多数が、全体として研究計画に改善すべき点があるとしている。
サブテーマ1の強震動予測については、より慎重に計画を検討すべきとの意見があった。実際の震災軽減に結びつけるには、予測の精度と迅速な予測とが必要である。K-netとの連係が、この点必要と考えられる。
また、社会の側での受け入れ体制などの整備も必要となる。なお、震源過程と地下構造の解明が、強震動予測の改善にどのような効果をもつのか、社会にわかりやすく説明する必要がある。
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