お知らせ
国立研究開発法人防災科学技術研究所
南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)海底ケーブルの陸揚げ作業見学会を高知県室戸市で実施
防災科学技術研究所は、南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)の沖合システム敷設工事のうち、海底ケーブルと陸上局を繋ぐ陸揚げ作業について、室戸世界ジオパークセンター(高知県室戸市)で関係者見学会を実施します。
- 1.内容
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国立研究開発法人防災科学技術研究所(理事長: 寶 馨)は、2019年より文部科学省地球観測システム研究開発費補助金による「南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)の構築」事業を実施しています(参考1)。
先日、沖合システムの敷設工事に着手することをお知らせしましたが、同敷設工事のうち、海底ケーブルと陸上局を繋ぐ陸揚げ作業(参考2)について、室戸世界ジオパークセンター(高知県室戸市)で関係者見学会を実施しますのでお知らせいたします。
なお、12月下旬にも串間陸上局(宮崎県串間市)において陸揚げ作業見学会を行う予定です(日程は敷設工事の進捗によるため後日関係者にご案内いたします)。 - 2.日時
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2023年10月29日(日)9時30分~11時00分頃
※見学会の終了時間は前後する可能性があるのでご了承ください。
※受付は9時00分~9時30分の間に行います。室戸世界ジオパークセンターは9時00分開館ですのでご注意ください。
※気象状況(海上の波が高い等)により見学会を延期させていただく可能性があります。催行・延期の判断については、25日(水)17時および当日早朝に防災科学技術研究所X(旧Twitter)にてお知らせします。 - 3.場所
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室戸世界ジオパークセンター2階
〒781-7101 高知県室戸市室戸岬町1810-2 - 4.対象
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地元関係者、報道関係者
(参考1) 南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)について
- 1.はじめに
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国立研究開発法人防災科学技術研究所(以下「防災科研」という。)は、陸海統合地震津波火山観測網(MOWLAS)を全国で運用しており、2019年からは、文部科学省地球観測システム研究開発費補助金により「南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)の構築」事業を実施しています。本事業は、南海トラフ地震の想定震源域のうち観測網が設置されていない海域(高知県沖から日向灘)にケーブル式の海底地震・津波観測システムを整備するものです。
- 2.N-netの概要
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N-netは沖合システムと沿岸システムからなる観測網で、それぞれのシステムは海底ケーブルと観測ノードで構成され、2つの陸上局に陸揚げされます。各システムに18台の観測ノードを繋いでおり(計36台)、各観測ノードの中には地震を観測する地震計や津波を観測する水圧計等が入っています。
観測ノードが検知したデータは、光ファイバー海底ケーブルで2つの陸上局に伝送され、陸上局からは地上通信回線網によって防災科研のデータセンター等に伝送されます。
N-netの整備により、地震の揺れや津波を今までより早く直接検知します。また、海底における微小な揺れや水圧の観測・分析により地震や津波のメカニズムを解明し、リアルタイム予測や長期予測を高度化します。これらにより南海トラフ巨大地震発生時の被害軽減に貢献することを目指しています。
(参考2) 海底ケーブルの陸揚げ作業について
海底ケーブルの敷設工事は、海底ケーブル敷設船「KDDIケーブルインフィニティ」を使って実施します(総トン数9,500t、全長113m)。一方、陸上局舎から海底にかけては、海底ケーブルを通すための管路が設置されており、陸揚げ作業は、敷設船に積み込まれている海底ケーブルの先端を、管路を通じて陸上局まで到達させる作業となります。(図2参照)
作業は次のような手順で行います。
〇敷設船を沖合に固定し、ケーブルの先端を管路口まで到達させます。
〇ケーブルの先端と、陸上局から管路内を通して繰り出したリード用のロープを繋ぎます。(ダイバーによる作業)
〇陸上局から重機(ウィンチ)を用いてロープを引っ張ります。(ケーブルには浮力体が取り付けられており、水面に浮いた状態で作業)
〇ケーブルが陸上局に到達した後、浮力体を切断し、ケーブルを海底におろします。
〇ケーブル着底後、水中ケーブルストッパーを取り付けます。
※漁業に影響を与えないよう、砂・泥が舞い上がらないように十分に注意しながら作業を行います。