お知らせ
国立研究開発法人防災科学技術研究所
十勝岳における実証実験(登山者動向把握実験)
「十勝岳チャレンジ2025」を実施
~登山者を想定した火山防災上の取り組みに取得データを活用~
国立研究開発法人防災科学技術研究所(理事長:寶 馨)は、登山者の動向に関するデータを収集し、将来起こりうる噴火発生時および平時において防災利用することを目的として、2025年7月26日(土)に北海道中央部に位置する十勝岳で登山者動向把握に関する実証実験「十勝岳チャレンジ2025」を初めて実施します。
内容(詳細は別紙参照)
十勝岳の登山者にGPSロガー(GPSアプリをインストールしたスマートフォン)を配布し、登山者の動向(登山パターン、またそれに要する時間等)を把握する実証実験を実施します。実験内では突発的な噴火を想定した避難行動の確認も行い、十勝岳における登山者の避難行動モニタリングを実施します。
- 実施主体:防災科学技術研究所
【実験担当者】巨大地変災害研究領域 火山防災研究部門
主任研究員 宮城 洋介
※本実験は、文部科学省次世代火山研究推進事業の一環として実施します。 - 日時:2025年7月26日(土) 8時~17時頃
※登山者がGPSロガーを持って十勝岳に登り、下山してくるまでの時間
※天候等が理由で中止になった場合、翌7/27(日)に延期する。 - 場所:GPSロガーの配布・回収
・十勝岳望岳台(北海道上川郡美瑛町)
・十勝岳温泉登山口(北海道空知郡上富良野町) - 共催:十勝岳ジオパーク推進協議会
- 協力:北海道美瑛町、北海道上富良野町、一般社団法人富士山チャレンジプラットフォーム
(別紙資料)十勝岳における実証実験(登山者動向把握実験) 「十勝岳チャレンジ2025」を実施 ~登山者を想定した火山防災上の取り組みに取得データを活用~
- 実験概要
-
国立研究開発法人防災科学技術研究所(以下「防災科研」という)は、2025年7月26日(土)(※予備日:27日(日))に十勝岳における登山者の動向把握に関する実証実験、通称「十勝岳チャレンジ2025」を実施します。
本実験は、北海道中央部に位置する十勝岳において登山者の動向を把握し、取得した登山者動態データを防災利用することを目的としています。十勝岳は多くの登山者が訪れる山である一方、有史以来噴火活動を繰り返してきた活動的な火山でもあります。とりわけ泥流(大正泥流)によって周辺住民に多くの被害者をもたらした1926(大正15)年の噴火から来年で100年目を迎えます。本実験の成果は、十勝岳における登山者を想定した火山防災上の課題解決に繋がります。
登山者動態データの取得手法は、登山者にGPSロガー(GPSアプリをインストールしたスマートフォン)(写真1)を持って登山をしていただき、GPSロガーを持った登山者の動きをモニタリングするものです。登山中にはあらかじめ指定した時間に、十勝岳の突発的噴火を想定した避難行動をとっていただき、登山者の避難行動モニタリングを行います。調査範囲は、十勝岳望岳台(北海道上川郡美瑛町)および十勝岳温泉登山口(北海道空知郡上富良野町)から十勝岳山頂への登山道です。
なお、同様のシステムを利用した実証実験は、昨年度(2024年度)御嶽山で実施されています(御嶽山チャレンジ2024)。写真1. 登山者に配布するGPSロガー(GPSアプリをインストールしたスマートフォン)とそれを入れるケース(約15cm×20cm)。
毎秒位置を計測することができる。 - 取得データの活用
-
実証実験で取得したデータは地元自治体と共有することで、地元自治体の火山防災の取り組みに役立てることを目指します。本実験では十勝岳に登る登山者の、突発的噴火時の避難行動を含む登山者動態データを取得することが可能となります。このデータを解析することで、登山者の避難行動・登山パターンとそれに要する時間を明らかにすることができます。この成果を基に、噴火時のハザードに対する登山者の曝露評価を行うことが可能となり、登山者の避難シミュレーションを行います。これらは地元自治体等による登山者を想定した事前防災対策(シェルターや防災行政無線、避難指示看板などの設置場所の検討や周知啓発活動)の検討などに参考にしていただきます。