2021年度日本気象協会岡田賞を受賞しました
2021年度日本気象協会岡田賞を受賞しました
国家レジリエンス研究推進センターの清水慎吾研究統括が、2021年度日本気象協会岡田賞を受賞しましたのでお知らせいたします。
岡田賞は、明治から大正、昭和にかけて気象事業と地球物理学の発展に尽力し、気象庁の前身である中央気象台の第4代台長を務めた岡田武松氏の功績を記念し、その分野で多大な功績を残した優秀な研究者に対して、一般財団法人 日本気象協会が毎年、受賞者の選考と授与を行っています。
表彰理由
『線状降水帯の観測・予測技術を向上させ大雨災害軽減への取り組みに貢献した功績』
内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)において、「線状降水帯の新たな観測・予測システムの開発プロジェクト」の研究代表者として全体を統括し「線状降水帯の観測・予測技術の向上」に大きく貢献してきました。
加えて、2021年度に開発した「顕著な大雨をもたらす線状降水帯の自動検出技術」は、気象庁の「顕著な大雨に関する情報」に実装され、大雨災害が頻発する昨今において、社会的意義のある「大雨災害軽減への取り組み」に大いに貢献しました。
表彰式(2022年4月15日)
表彰式が、2022年4月15日に日本気象協会本社のある池袋サンシャイン60で開催されました。
受賞コメント
このような歴史と栄誉ある賞を頂き、大変光栄に存じます。
近年頻発する線状降水帯に関するこれまでの研究成果を評価して頂いたことを大変嬉しく思います。
大雨災害については、予測精度の向上により、効果的な事前対応が可能であると私は信じています。しかし完璧な予測はありません。そのような中、不確実性をどのように発信していくか、情報の受け手や社会全体の防災リテラシーをどのように向上させていくのか、避難行動に結びつく情報とはどのようなものなのかなど、課題は山積みだと認識しております。
こうした課題を解決する糸口は、発信者と受信者の双方向のコミュニケーションだと考えております。受け手側のニーズ、リソース、ルールといった条件を理解したうえで、情報提供の在り方を考えるという研究スタイルを私はこのプロジェクトから培うことができました。自治体、メディア、関係府省庁の方々との意見交換や豪雨災害発生直後の県災害対策本部のサポートを通して、私の研究の在るべき姿、つまり「誰の役に立つ研究なのか」という“出口意識”が芽生え、それによって自分は大きく成長できたのではないかと考えております。
特に、2021年に気象庁に実装された線状降水帯の自動検出技術や不確実性を考慮した予測情報の配信方法を考案し、自治体の防災担当者の役に立つ研究を推進できたことに大きな喜びを感じております。
線状降水帯による大規模水害は、気候変動に伴い、今後ますます増加すると予想されている中で、単なる観測・予測精度の向上にとどまらず、効果的な防災・減災に「役立つ」研究を、今後も積極的に推進していきたいと思います。