参画機関

東京大学地球観測データ統融合連携研究機構

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地球観測データ統融合連携研究機構(EDITORIA)は、東京大学における地球観測分野、情報科学技術分野、災害や農業などの公共的利益分野を担う部局が相互に協力し、不均質な情報源から取得される多様で大容量の地球観測データを効果的に活用して、地球環境の理解を深めるとともに、予測能力を高め、危機管理や資源管理等における健全な政策決定に資する情報の創出を目指します。

1.設立の経緯

自然の変動が人間社会に甚大な災害を引き起こす一方で、地球温暖化や生態系の破壊など人間活動の影響が自然系への変化をもたらし、人間活動の制約の条件となっています。こうした問題に対して、地球観測データを利用し、地球環境の理解を深めながら、予測能力を高め、危機管理や資源管理等における健全な意志決定に資する情報を提供することが日々国内外から求められています。文部科学省は世界に先駆けて地球環境情報プラットフォーム構築事業に取り組み、2006年、文部科学省研究委託事業「データ統合・解析システム(DIAS)」が始動しました。東京大学では、総長のリーダーシップの下で全学として推進すべきプロジェクトや領域横断的な教育研究プロジェクト等に対応するため、総長直轄の研究組織を設置しており、同年、東京大学における研究事業の受託およびDIASプロジェクト推進を目的とし、総長室総括委員会下の機構として、東京大学地球観測データ統融合連携研究機構(EDITORIA)が設立されました。

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2.研究組織体制

EDITORIAはその設立以降、領域横断的大規模プロジェクト「データ統合・解析システム(DIAS)」の開発推進を担い、東京大学における地球観測分野、情報科学技術分野、災害や農業などの公共的利益分野を専門とする学内7部局が相互に連携・協力し、国内外連携研究拠点として学際的融合研究を推進、領域横断、分野連携研究体制を確立しました。

<東京大学参画部局>
生産技術研究所、大学院工学系研究科、大学院医学系研究科、大学院農学生命科学研究科、
大気海洋研究所、空間情報科学研究センター、未来ビジョン研究センター

また、これまで京都大学や早稲田大学をはじめとする多くの大学がDIASプロジェクトに参画し、幅広く多様な研究領域分野からその研究活動を支えました。EDITORIAは国内外連携研究拠点として、協働する国内外大学や研究機関と共にさらなる社会課題解決への貢献を目指します。

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3.研究の概要

EDITORIAは、2006年の機構設立とともに、文部科学省委託業務「データ統合・解析システム(DIAS)」を三期15年間に渡り受託し、プロジェクトを推進、地球観測・予測情報を効果的かつ効率的に組み合わせ、新たに有用な情報を創出する情報基盤の開発に世界に先駆けて取り組み、国内外の大学、研究機関、政府、地方自治体や国際枠組の下で地球環境データを用いた研究開発を進め、気候変動・水課題を中心に国内外の社会課題の解決に資する成果を収めています。さらに国内外の研究・技術開発機関、現業機関・民間企業等と協力して、公共的利益分野への適用事例を拡張、展開するとともに、予測情報等を定常的に提供するシステムを開発しました。現在そのシステムやアプリケーションは、国内のみならず、アジア、南アメリカ、アフリカ諸国における防災・災害対策事業や生物多様性研究などに広く実利用されています。現在はDIAS第4期となる「地球環境データ統合・解析プラットフォーム事業」へ参画し、日々新たな研究開発の展開へ挑戦しています。今期プロジェクトにおいては京都大学、早稲田大学、北海道国立大学機構(北見工業大学)が参加しており、国公私立大学の協働での研究推進体制を実現しました。

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4.今後の展開

EDITORIAは東京大学における学際的連携研究体制を確立し、国内外の多くのユーザによる地球観測・予測情報を用いた研究開発を支援、社会課題の解決に資する様々な取り組みを成功させています。現在DIASのユーザ数は全世界116か国で1万人を超え、持続可能な環境情報プラットフォームとしてその役割が確立されつつあります。様々な地球環境データが多様なアプリケーションやシステムによって社会運用され、DIASは国内外で活発に利活用されています。今後、気候変動に関する温暖化予測およびその影響評価を含めたデータがDIASにアーカイブされる予定となっており、政府方針である気候変動に係る政策立案、防災・減災対策や気候変動対策を中心とした地球環境全体のデータプラットフォームとしての長期的・安定的運用の確立を目指し、EDITORIAは国内外連携研究拠点として、協働する国内外大学や研究機関と共に気候変動適応・緩和等の社会課題解決への貢献を継続します。そして、ウィズコロナ・ポストコロナ社会において、これまで以上にリモート下の研究開発が中心となっていくことが見込まれる中で、地球環境ビッグデータ(観測情報・予測情報等)の利活用を推進し、防災・減災等の適応策にも貢献する地球環境分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)の更なる推進を目指します。

今後はDIAS拡張、高度化を進めつつ、水関連災害の激甚化や新型コロナ感染症の拡大など現在直面する社会課題と対峙し、クラウドソーシングやSNS等新たなデータソースの活用、VRを活用した災害等のシミュレーション、深層学習を用いた画像解析など、最先端の技術を駆使し、ユーザニーズを反映したアプリケーションの研究開発を進めます。さらにDIASを活用して様々な地球環境データを共有・利用できるオンリーワンな「場」を提供することにより、地球規模課題の解決等に資する研究や教育の促進強化に取り組みます。

  • 東京大学地球観測データ統融合連携研究機構(EDITORIA) 〒153-8505東京都目黒区駒場4-6-1 東京大学駒場Ⅱキャンパス 東京大学生産技術研究所
  • https://www.editoria.u-tokyo.ac.jp/