参画機関

海洋研究開発機構付加価値情報創生部門

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海洋研究開発機構には5つの研究部門があります.海洋観測を主な研究対象とする機構の中で,付加価値情報創生部門は,2019年に新設された研究部門で,大規模数値解析と観測データを融合させることで,海洋・地球・生命に関する新たな価値が付加された情報の創生を目指す研究開発するユニークな研究部門です.付加価値情報を創生する対象の一つが自然災害の将来予測です.付加価値情報創生部門では,海洋研究開発機構の他の部門が研究開発を進める先端機器を利用したさまざまな観測データの利用を前提に,海洋研究開発機構が有する地球シミュレータというスーパーコンピュータを使って,地震や大雨・台風の大規模シミュレーションの研究開発を進めています.

現在,地震のシミュレーションに関して,機構内の海域地震火山部門や東京大学地震研究所等と共同で大規模数値解析手法の研究開発を進めています.専門的になりますが,この分野の代表的な数値解析手法である有限要素法と粒子法では,規模・速度・精度で世界最先端となっています.また,研究開発のレベルを超えて,企業等での利用や数値解析手法の商用化も進めています.地震のシミュレーションでは,数値解析手法に加えて,地殻や地盤の解析モデルも必要です.このような解析モデルは,海底や地上・地下で観測される地震動や地殻変動のさまざまなデータを使って作成されます.観測データから解析モデルを自動構築する研究開発も進めています. 大雨・台風の大規模シミュレーションに関しては,機構内の地球環境部門や東京大学大気海洋研究所等と連携して,実利用を意識した数値解析手法の研究開発を進めています.これは,比較的短い時間の気象現象を高い時空間分解能で予測することを目的としており,大雨・台風の予測の基礎となる数値解析手法とも考えられます.また,大気の状況である気象に加え,海の状況である海象の予測も含めているところが特徴です.航海観測や衛星観測のデータの利用に関わる研究開発も進めています.

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列島規模での地震シミュレーション

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全球での極端気象現象の確率的予測

2021年のG7科学技術大臣会合でも取り上げられましたが,海洋のデジタルツインの研究開発が 重要事項となっています.デジタルツインとは,計算機の中に作られる実空間の双子となるようなモデルを意味します.海洋のデジタルツインは,自然災害を含め,海洋の実空間で何が起きているかを知ったり,何が起きるかを予測するために,利用されます. 付加価値情報創生部門は,超大規模台風・高潮のような極端気象・海象現象を予測することを一つの目的に海洋のデジタルツインの研究開発を進めることを計画しています.また,海底観測ネットワークを利用して,海洋で発生する大型地震を調べるためのデジタルツインも構想しています.

付加価値情報創生部門は,数理科学・先端技術研究開発センター,アプリケーションラボ,地球情報科学技術センター,国際海洋環境情報センター,の3つの部署から構成され,研究者50名強,技術者20名強を有する部門です.部署を紹介するウェブページのURLは以下の通りです.
数理科学・先端技術研究開発センター https://www.jamstec.go.jp/mat/j/
アプリケーションラボ https://www.jamstec.go.jp/apl/j/
地球情報科学技術センター https://www.jamstec.go.jp/ceist/j/
国際海洋環境情報センター https://www.jamstec.go.jp/godac/j/

  • 海洋研究開発機構付加価値情報創生部門
  • /https://www.jamstec.go.jp/vaig/j/